「所有から利用へ」創造的破壊の始まり サブスクリプション最新動向
スペシャルセッション
ビジネスを創造的に破壊せよ
学習院大の伊藤元重氏は、業績好調な日本企業が、先行きの厳しさを理由に投資を控える傾向は「間違っている」と語った。地球温暖化などの環境問題への対応、テクノロジーの発展の中で「既存ビジネスの枠にとらわれていては存亡の危機を招く」と強調した。サブスクリプション・エコノミー台頭の背景には、顧客が求めるサービスを提案し、伸びない市場で稼ごうとする狙いがあると指摘。「破壊的イノベーションを今のビジネスの延長線上に取り込むことは難しいが、うまくやらなければならない」と訴えた。
国内事例講演
サブスクリプション・ビジネスへの挑戦と成功の条件
ICT建機などで施工を省力化、自動化するソリューション「スマートコンストラクション」を推進するコマツの赤沼浩樹氏は「新サービスを続々展開するには迅速にサービス提供できるシステムが必要。100カ月以上連続で機能強化をしている姿勢に共感した」とZuoraを評価した。顧客業務にフォーカスしてサービス提供する「リコースマートインテグレーション」に取り組むリコーの堀場一弘氏は「コピー機の1ショット契約のビジネスを変えたかった。Zuora導入は、会社がサブスクリプション・ビジネスを本当に真剣に考える契機になった」と述べた。
中小企業向けにバックオフィスを自動化・効率化するクラウドサービスを提供するfreeeの佐々木大輔氏は個人事業主から中小・中堅企業、上場(準備)企業、会計事務所へと、ユーザーが拡大するのに応じて「柔軟に料金体系のプランを追加することが、Zuoraの活用でできた」と語った。勤怠・工数管理、経費精算を一つにまとめたクラウド型働き方改革プラットフォームを提供するチームスピリットの増山秀信氏は、ERPでできない作業を人手で処理していたが、「会計の自動化が進み、リアルタイムの売上把握も可能になった」とZuoraの導入効果を語った。
Subscriber Session
サブスクリプションで成功するための重要なKPI
Zuora日本法人の竹内尚志・本部長はサブスクリプション・ビジネスは物販モデルとは別のKPIが必要になることを指摘して「ARRn(年間経常収益)― Churn(解約、ダウングレード等による売上減額)+ACV(年間の新規・増額契約売上)=ARRn+1(翌年の年間経常収益)」の式を紹介した。同社は、Zuoraやサードパーティのデータを取り込み、有益なKPI、トレンド情報に変換する分析基盤Zuora Insightsも提供。「顧客行動を学習し、解約しそうな顧客を示すことで対応を促せる」と説明した。