アマゾン配送センター社員の「不都合な真実」 "週55時間勤務"も"救急車搬送"も当たり前
ここまでして働く理由は、センターに割り当てられたノルマの存在が大きい。1時間に最大300個の商品の処理が達成できるよう「30秒で1商品」というノルマの下、センター内に設置された監視カメラがスタッフたちの動きに無駄がないかを見張っている。「ノルマを達成できないとクビもあり得る。過労とプレッシャーのため救急車で搬送された人もいる」と、セルビーは語る。
疲れ切ったスタッフたちはそれでも追いつかない仕事を巻き返そうとして、自分の労働時間のことまで頭が回らない状態だ。1週間あたり55時間の長時間労働の末にパニックを起こす者もいる。
チルベリーのセンターは労働安全衛生法をクリアした職場だが、合法だからと言ってスタッフにとって良い環境であるとは限らない。スタッフとして5週間勤務したセルビーはその状況を「労働者たちはまるでロボットに仕えるしもべ」だったと振り返る。
おまけにスタッフたちはトイレに行くために約540メートルも歩かねばならない。
体が悲鳴を上げ始めた
セルビーは潜入取材前、倉庫内の仕事で日ごろの運動不足が解消できるかもしれないと、冗談交じりの期待を抱くくらいは気持ちに余裕があった。
しかし、働き始めるとセルビーの期待を大きく上回る労働が科せられた。仕事中は常に大量の汗を流し、血圧と安静時の心拍数はストレスのため上がったと語る。
もちろんアマゾンの出荷する荷物は人力でカバーし切れない量だから、産業用ロボットが活躍している。「人間のスタッフが家畜のように集められ、ロボットに仕えるために存在しているかのようだった」
アマゾンの従業員が待遇改善を求めたストライキは何年も続いてきた。特にドイツでは2013年、アマゾンの賃金が業界の実質的な最低賃金に達していないとして痛烈に批判された。
In #Solidarity with the workers of #Amazon in #Leipzig , #Europe and worldwide! #MakeAmazonPay #DiEM25 #BlackFriday #blockblackfriday pic.twitter.com/ktl9DUwryi
— DiEM25 DSC Leipzig (@DiEM25_Leipzig) 2017年11月24日
(ブラックフライデーに合わせて行われたデモ)
それから4年がたつも状況は改善していないようだ。今年は、感謝祭と大型セールイベントのブラックフライデーに合わせてイタリアの主要物流拠点とドイツの6つの倉庫でストライキが実行された。イタリアの労働組合によると、アマゾンとの間で賞与を巡る交渉が決裂したという。
来月はいよいよクリスマス。疲れ果てたエセックスのスタッフは普段より多い、1時間当たり200品の出荷が待ち構えている。
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