北朝鮮・金一族が元山で描く仰天の生き残り策 「観光」と「兵器」で生き残ろうとしている
入手できる最新のデータによると、軍事費のGDPに占める割合は北朝鮮が世界最高で、2004─2014年の平均では23%に達すると米国務省は分析している。
元山のパンフレットは、14─43%の内部収益率をうたい、健全な収益性を約束している。例えば、総建設費730万ドルのでデパート建設計画では、外国人投資家の出資比率は最大61.3%まで認められている。リターンとして、投資家は年間130万ドルの利益を見込めるという。
またパンフレットは、外国人投資家に有利な条件を宣伝しており、権利は国が保護し、資金の海外移転に制限はないとしている。土地は所有できないが、50年間貸借でき、リース権の売買もできる。
当局は投資家のニーズをあまり理解していない
さほど条件が良くないプロジェクトもある。
例えば、新設される元山ビール醸造所に240万ドルの初期投資を行い、北朝鮮のビール人気で稼ごうというプロジェクトがある。だが外国人投資家は、15%の取引税や、都市管理税、自動車税などの対象となる。それに加え、所得税14%が課税され、年間予想利益はほぼ半分の約15.5万ドルまで目減りする。
北朝鮮は表向き、国内投資家には課税していない。だが専門家によると、北朝鮮は国営企業の利益の70%程度を徴収して資金源にしている。
プロジェクト案の中には、観光の枠を超えるものもある。「産業ベースで経済価値が高く、観光客や海外輸出市場を満足させる」海産物の養殖場や、照明機器工場、家具工場のほか、改修された「元山釣具」工場もある。同工場の生産力は、浮き1万個、ロープ750トン、「水泳用ライフジャケット」2500個などとなっている。
元山開発プロジェクトが持ち上がって以降、国連は対北朝鮮制裁を強化し、海産物輸出は禁止され、合弁事業にも制限がかかった。
2015年のパンフレットは、外国人投資家の元山への関心は「日々大きくなっている」としている。
だが、同年元山で開かれた投資会議に出席した西側参加者によると、北朝鮮当局者は、投資家のニーズをあまり理解していない様子だったという。会議には、中国や西側から約200人が出席し、この地帯への投資見通しについて説明を受けた後、現地を視察した。
「少しは現実的な話が聞けるかと思ったが、彼らは単にこの投資機会がいかに素晴らしいか述べるだけで、この地域や彼らの計画に問題や欠陥があり得るということを一切認めなかった」と、北京を拠点とする高麗旅行社のサイモン・コッカレル氏は話した。
元北朝鮮外交官で、2015年に韓国に亡命するまでベトナムに駐在したHan Jin-myung氏は、元山計画を国外で宣伝するよう指示されたが、あまり成功しなかったと話す。「代わりに北朝鮮産の薬草や薬を売って終わってしまった」
(Ju-min Park James Pearson 翻訳、編集:伊藤典子、山口香子)
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