「治らない」から「治る」に、肝炎撲滅への挑戦 いま、増加する新たな肝障害のリスクとは

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2017年に創立30周年を迎えたギリアド・サイエンシズは、これまでウイルス感染症を中心に革新的な医薬品を創出し、治療法の確立されていない疾患領域であるアンメット・メディカルニーズに応えてきた。特に、ウイルス性肝炎治療の分野においては、インターフェロンなどの従来の治療薬に比べて大きな成果を上げている。そこで、ウイルス肝炎治療の歴史と将来について、専門医である茶山一彰氏に話を聞いた。

難病の克服を目指すギリアド・サイエンシズ

ギリアド・サイエンシズ・インク
最高経営責任者兼取締役
ジョン・F・ミリガン氏

ギリアド・サイエンシズは1987年に米国で設立され、今年で創立30周年を迎えたバイオファーマ企業である。「当社の使命は、生命を脅かす難病を抱える世界中の患者さんのために、医療を向上させることです」とCEOのジョン・F・ミリガン氏は企業の目標を述べている。その目標にあるように、これまでに有力なインフルエンザ治療薬、エイズ治療薬、肝炎治療薬などの数々を世界に送り出し、医療の向上に貢献してきた。「当社の製品の多くは、その分野での史上初もしくは代表的な医薬品です。今後も引き続き当社の科学的知識を補完し、患者さんに生きる希望をもたらす医薬品化合物、開発プログラム、パートナー企業を模索していきます」とミリガン氏は決意を新たにする。

ギリアド・ジャパン
代表取締役社長
折原 祐治氏

一方、日本法人は、2012年に設立された。活動開始以来、製品の開発や販売活動を通じ、成長を続けるギリアドのグローバルビジネスを日本においてサポートする役割を担っている。日本では、肝炎治療薬が最初の上市品となったが、同分野では医療者への情報提供だけではなく、認知を拡大し、一人でも多くの患者さんに肝炎治療に関する情報を届けるために疾患啓発活動にも積極的に取り組んできた。代表取締役の折原祐治氏は、「肝炎治療の分野では、これまでにない治療効果を上げる医薬品をお届けし、医療の向上に貢献してきました。今後はスペシャリティファーマとして日本での地位を確立すべく、開発領域を拡大する予定です。今後も革新的な治療薬の提供を通じて、日本の治療と患者さんに貢献していきたいと思います」と日本での今後の展開を語る。

肝炎の治療は将来の肝がん発症リスクを抑制する

厚生労働省の人口動態統計によると、日本人の死亡原因は1980年頃から悪性新生物(がん)が脳血管疾患を上回り、社会の高齢化とともに増加の一途をたどっている(図1)。今や日本人の2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんを原因として死亡するといわれており、がん死亡者のがん種では肝がんが約3万人と第5位となっている(図2)。(出典:厚生労働省「人口動態調査」より)

がん治療の目安としては「5年生存率」という尺度がある。「5年生存率は、がんの発見から5年間生存していた人の割合で、完全治癒を意味するものではありません」とウイルス性肝炎のスペシャリストである広島大学大学院医歯薬保健学研究科消化器・代謝内科学教授の茶山一彰氏は語る。

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