パナソニックが描く車載事業の未来とは クルマのエレクトロニクス化の最前線
以前は他の電機メーカーで電子部品のプロセスエンジニアとして働いていたという望月氏は、先端的な要素技術開発および工法の検証などを行う現在の仕事について「前職とは多少フェーズが違うものの、工法を開発するという部分では共通するものがあります」と、これまでの経験を生かした活躍ができることを喜んでいる。
「転職理由は、おもに3つありました。まず、エレクトロニクス系の成長分野である車載事業に携わりたいということ。次に幅広いキャリアを積みたいということ。そして、世界中のビジネスパートナーと仕事をするチャンスを得たいということ。この3つをすべて満たすのがAIS社だと、改めて実感しています」と今の心境を口にする。
同じく生産革新部の久門哲也主任技師は、03年に新卒で入社した。当初2年間は横浜拠点で携帯電話関係の生産技術の業務にあたっていたが、その後、一貫して車載事業に従事。現在は、望月氏と同じ部署で確立された技術を生産設備として具現化する業務を担いながら、中国、マレーシア、タイ、チェコ、メキシコの海外5拠点のサポートも行っている。「昨年1年間の出勤日で全員がそろって顔を合わせたことは、ただの1度もありません。つねにメンバーのだれかが海外拠点の支援に出向いている状況です。海外志向の強い技術者なら願ってもない環境だと思います」と言う。
そんな久門氏が近年感じているのは、手掛ける仕事の内容が大きく変わってきていることだ。たとえば「従来、生産設備の開発や立ち上げなど一連の業務は、それぞれの工場で行ってきましたが、最近は国内外工場と協業することが多くなりました。今後ますますパナソニックの他カンパニーの人たちとも一緒に仕事をする機会が増えていくと思います。そうした中で、これまで以上の安全性、品質、効率性の向上を図る生産設備の自動化の開発を立ち止まることなく進めていく必要があります。多忙ではありますが、多様な文化・価値観を持つメンバーとともにミッションを遂行し、イノベーションを起こしていく過程に、十分やりがいを感じていただけるはずです」と熱く語る。
クルマの電子化、電動化、自動化。まさに社会の変革を先取りしているAIS社だからこそ、ここで働く人材も未来対応型の能力が求められる。小林所長が待望するのは「専門のコアがしっかりあり、かつ商品を実現し量産するためのプロセスを総合的に俯瞰できる視点」の持ち主だ。
「われわれは実装と組み立ての世界から、材料プロセス型のものづくりへと変わっていかなければなりません。また、工場内の設備をすべてIoT化することで生産プロセスを劇的に効率化したり、ビッグデータとAIの活用で生産ラインの予兆管理を行ったりといったスマートファクトリー化にも対応しなければなりません。そうしたものづくりの現場を、一段と進化させていくための工法と設備の開発ができる人材が不可欠なのです」(小林氏)
もちろん、テクニカルスキルだけではなく、技術者としての論理的思考、他者と協業するためのコミュニケーション力、周囲の人を巻き込んでものごとの解決に粘り強く取り組むリーダーシップ、異文化理解や語学力をはじめとするグローバル対応力を有していることは大前提だ。その上で「何かを変えてやろう、未来を創ってやろうという熱いマインドを持っている人に、ぜひAIS社で新しい挑戦をしていただきたいです」とアピールする。
AIS社の躍進を牽引し、自らも成長していく。そんな気概のある人材がこれからのクルマのエレクトロニクス化を切り拓いていくことになるのだろう。