EVが累計1億台を突破した時、何が起きるか 10年単位の精緻な予想はビジネスに不可欠

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「エネルギーシフトはすでに起こりつつあります。何がいつ起きるのかというタイミングを見誤ると、ビジネスチャンスを逃すことにつながりかねません」

そう語るのは、ウッドマッケンジージャパンのディレクター、加藤秀彦氏。ここで言う「シフト」とは、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換にほかならない。2017年現在、化石燃料は世界の主要エネルギー源として健在だが、その影で再生可能エネルギーの成長が堅実な伸びを見せているのだ。加藤氏が続ける。

ウッドマッケンジージャパン
ディレクター
加藤秀彦

「地球温暖化は世界的な問題であり、化石燃料の使用を減らしていこうというトレンドは確実に進んでいます。すでに欧州では石炭の使用が急速に減ってきており、一方で風力や太陽光などの発電量は着実に増加しています。当社の予測では2015年から2035年までの間に風力発電は年間平均で7%、太陽光発電は同11%伸びていきます。同様のトレンドから、電気自動車(EV)の累積販売台数は約1億台に達すると見られています」

産油国では、石油需要減を見越して新しい動きも

ウッドマッケンジーは、エネルギー分野に特化したリサーチやコンサルティングを行っているグローバルインテリジェンス企業だ。石油、石炭、天然ガス、鉄鉱石、化学製品など、同社はほぼすべてのエネルギー資源について網羅的・横断的に調査・分析し、生産量や需要の予測をしている。

「たとえば石炭の供給についてであれば、現在世界で操業する石炭鉱山と、これから操業するプロジェクト約1400鉱山について、埋蔵量や生産量の予測、どんな性質の石炭がどれくらいのコストで採掘されていて、どのような市場性があるのか、といった分析をしています。世界17カ国、25拠点にオフィスを展開し、約1200名の社員のほぼ半数を占めるアナリストやリサーチャーが、実際に現場を訪問し、聞き取りも含めて広範な調査を行うことで独自性を担保しています」(加藤氏)

ウッドマッケンジーが日本にオフィスを設けたのは15年ほど前。商社、電力会社、石油会社、政府系機関など幅広い層の顧客が同社の提供するデータやコンサルティングを活用している。エネルギー需要の予測は、企業にとっても、国にとっても重要だからだ。

現に、石油の需要減を見越して産油国ではすでに国内の改革や新たな投資の拡大などさまざまな動きが出ている。そこにビジネスチャンスを見出している企業も多い。日本企業がサウジアラビアと組んで10兆円ファンドを立ち上げたのはいい例だ。

10兆円規模のビジネスは難しいにしても、将来予想はビジネスパーソン、特にマネジメント層にとっては欠かせない情報だ。わかりやすく、先のEVを例に出そう。2035年、日本でEVの販売が伸びていれば、(市場全体が伸びない限り)ガソリン車の販売は落ちているだろう。その時、仮にガソリンを使用する内燃機関だけに注力する企業があるとすれば、どうなるか。苦境に立たされるのは目に見えている。

「シフト」に合わせて社内の変革を促すことこそが、マネジメント層の役割だ。

ウッドマッケンジーのレポートには、2035年までのEVの売り上げ予想を含めた再生可能エネルギーについての予測が立てられている。将来の「シフト」を把握しビジネスチャンスをつかむためにも、当事者意識を持って一読することをお勧めしたい。

>>>「2035年、再生可能エネルギーの未来に向けたロードマップ」はこちらから

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