イノベーションがもたらす「次世代決済戦略」 買い物は、ビジネスは、どう変わる?

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―ビジネスはどのように変わっていくのでしょうか。

宮居 将来的には自分の購買データをもとに、お店と値引き交渉することができるようになるかもしれません。消費者自身もデータを活用することでメリットを得られる可能性があるのです。また、スマートフォンには決済データだけでなく、検索履歴や位置情報などのデータも蓄積されます。決済は消費をする際に必ず生じるので、誰がいつどこで何を消費するのか把握できれば、それを基により効果的なサービスを提供できるでしょう。このような新しいビジネスの可能性は、今後も次々に生まれてくると思います。

―蓄積されたデータが、大きな武器になるということですね。

宮居 蓄積したデータを使って、特定の消費者に向けてピンポイントで情報発信することで、コスト削減が進みます。その浮いたコストを、商品の割引や特典に回すことも考えられます。消費者にとっても、自分にカスタマイズした割引サービスのほうが嬉しいはずです。多くのデータを蓄積できればできるほど、このような好循環をつくり出せるのです。今後決済方法がさらに多様化すると、どんな決済サービスを使えばお得なのか、または便利なのかという点が差別化のポイントになってくるでしょう。

―私たちの生活そのものも、変化していきそうですね。

宮居 これからは「支払う」という行為自体が消えていくと考えています。今は個人も法人も、買い物をするときは商品を選んで代金を払っていますが、たとえば月々の電気代や電話料金の支払いはクレジットカード支払いや銀行振替に登録していますよね。将来的には、すべての商品売買や企業間取引がこれに近い状態に移行していくと考えています。

「決済サービスの分野には、ビジネスチャンスがたくさんあります」

―さらにキャッシュレス化を進めていくための方策はあるでしょうか。

宮居 たとえばイギリスでは、政府と金融業界が連携して、現金決済による社会的コストの削減を目指してキャッシュレス化を進めてきました。このような強力な推進体制が、日本にも必要かもしれません。

―BtoBの分野でも、キャッシュレス化は進んでいますか。

宮居 日本では銀行の信頼度が高く、大企業はまだ銀行間取引が中心です。しかし中小企業では決済後に納品するケースも多いため、すぐに決済が完了するクレジットカードを使った取引も行われています。ある建築資材の販売会社が電子決済で業績を伸ばしたように、法人でもインターネットで注文して仕入れる事例が増えています。現金決済では入金時期が不明確で未回収のリスクもありますが、電子決済なら入金が確実に約束されているので、その間、資金の融通が効くというメリットもあるのです。

―具体的には、どのようなビジネスが生まれていますか。

宮居 中小企業やベンチャー企業向けに、決済管理部門をアウトソースする決済代行や、売掛金などの決済リスクを代行してもらう新しいサービスなどが生まれました。非コア業務をアウトソースすることで、自社の資源をコア業務に集中させられ、競争力が高まるのです。すでにイギリスでは電子決済による企業間取引が進んでいますが、日本でもBtoC分野と同様に、スマートフォンやIT技術の特性を生かしたサービスが生まれ、さらに企業間ビジネスが進化していくと見ています。