サイバーエージェントが取り組む
「日本発」チャットボットの可能性。
サイバーエージェント

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人工知能(AI)という言葉を聞く機会が増えている。AIが囲碁や将棋のプロ棋士を下したニュースは大きく取り上げられている。自動車の完全自動運転の実現もAIが要になると言われている。注目を集める一方で、ビジネスでのAIの活用は進んでいなかったが、ここにきて一気に加速しようとしている。最前線を走る企業の一つがサイバーエージェントだ。なかでも、AIを活用し、ユーザーとのコミュニケーションを自然言語で自動対応する「チャットボット」の開発に力を入れており、導入企業も増えているという。米国などでは多くの企業がチャットボットを接客に活用している。「日本発」のチャットボットの可能性を取材した。

AIを活用したチャット
プラットフォームの提供を開始

「一口で『AIでお客様の問い合わせに対応する』と言っても、その実現はなかなか容易ではありません。お客様が何を知りたいのかを会話から判断するだけでも、高度な技術が必要とされるからです」と話すのは、サイバーエージェントAIスタジオ シニアデータサイエンティストの川端貴幸氏だ。

川端貴幸
サイバーエージェント
AI Studio DS Group
シニアデータサイエンティスト
AIは社会の何を担うべきなのか、
将来の世界観を描きながら、
研究・開発を進めていきたい

川端氏によれば、たとえば「パスワードを忘れてログインできない」といった問い合わせでも、ユーザーによっては「パスワード」と言ったり、「パス」と言う人もいる。メールだと「PASS」と英文で書く人もいるかもしれない。人間であればこれらはすべて同じ問い合わせだと簡単にわかるが、コンピュータがこれを理解するのは実は難しい。コンピュータには表記上の近さだけでなく、言葉の意味を教え込む必要がある。

「このほか、会話の中から駅名など特定の固有名詞を見つけることも、コンピュータは人間ほど精度高くはまだできません。これらに対応できる、自然言語処理技術に基づいた独自の会話エンジンの開発も、私たちの研究テーマの一つです」と川端氏は紹介する。

サイバーエージェントにはアドテクスタジオと呼ばれる、グループのアドテクノロジー分野における各サービスの開発を行うエンジニアの横断組織がある。2016年1月にはその中に、人工知能を活用したアドテクノロジーの広告配信技術の研究・開発を目的にする研究開発組織「AI Lab(AIラボ)」が設立され、川端氏がその責任者に着任した。「私たちが目指しているのは、AIを活用して企業とユーザーをOne to Oneで結ぶ最適なコミュニケーションを実現することです。16年7月には、人工知能を活用したチャットボット事業を行う子会社としてAIメッセンジャーを設立し、人工知能を活用したチャットプラットフォーム「AI Messenger(AIメッセンジャー)」の提供を開始しました」(川端氏)。

チャットボットとは、人間との自然言語でコミュニケーションを行うコンピュータのプログラムのことである。「AIメッセンジャー」は、自然言語処理技術に基づいた独自の会話エンジンを備え、人と会話をするように、商品に関する質問や相談に回答することができ、さらに簡単な雑談にも返答することが可能だという。

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