仏大統領選決選投票、マクロン氏が勝利  フランス史上最年少の指導者誕生

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 5月7日、フランス大統領選の決選投票は、親欧州連合(EU)で、超党派の市民運動「前進」を率いるマクロン前経済相が、極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首に勝利した。パリで撮影(2017年 ロイター/Jean-Paul Pelissier)

[パリ 7日 ロイター] - 7日に実施されたフランス大統領選の決選投票は、親欧州連合(EU)で、超党派の市民運動「前進」を率いるマクロン前経済相が、極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首に勝利した。

内務省によると、未開票0.01%の段階でマクロン氏の得票率は有効投票中66.06%。ルペン候補は33.94%だった。その差は、投票前の調査の20%ポイント前後よりも大きい。

ルペン氏は敗れたものの、得票率は、父親のジャンマリ・ルペン氏が2002年の大統領選に出馬した際の得票率のほぼ2倍で、極右政党候補者の得票率としては過去最高だった。

今回の選挙の登録有権者は4700万人。無効投票の割合は11.5%と過去最高。棄権率は25.38%と、過去最高に近い水準。

マクロン氏は、オランド政権で経済相を務めたものの政治経験が乏しい。しかし、今回の選挙では1世紀にわたり左派あるいは右派が支配する政治の構図を変える存在にのしあがった。カズヌーブ首相は、フランスが欧州の中心的地位の維持を選択したと述べた。

ナポレオン以降、フランスで最年少の指導者となるマクロン氏にとって、目先の試練は来月の議会選だ。議会の勢力図が、マクロン氏が目指す改革の実現に大きく影響する。

最初の出口調査結果が発表された直後、ルペン氏はマクロン氏を祝福したことを明らかにした。ただ、「新たな政治勢力」を結成する方針を示し、「すべての愛国主義者の参加」を呼びかけた。ルペン氏の側近は、新会派の名称は国民戦線にはならない見込みだと述べた。

<マクロン氏「分断修復に尽力」>

マクロン氏は、選挙対策本部で演説し、極右と極左が台頭し、分断された状態の修復に尽力する方針を強調した。

「この国が分断状態であること、それが一部で極端な意見を持つ政党への投票につながったと認識している。そうした投票行動を尊重する」としたうえで、「私は、欧州、フランス国民の間のつながりを再構築するために尽力する」と述べた。

<欧州各国から祝福の声、トランプ米大統領も祝意>

欧州では、英国が昨年、国民投票でEU離脱を決定したことをきっかけに、EUの存在意義が問われてきた。今年3月のオランダ総選挙で極右政党が伸び悩み、与党が第1党を維持したことで、危機感は幾分和らいでいたが、ユーロ圏でドイツに次ぐ経済規模を持つフランスの大統領選は欧州の今後を占う試金石として注目されていた。

マクロン氏の勝利が確実となり、欧州域内から祝福の声が寄せられた。トランプ米大統領も、マクロン氏に祝意を示した。

メルケル独首相の報道官はツイッターでマクロン氏に向けて「あなたの勝利は、強く結束した欧州と独仏の友好にとっての勝利だ」と述べた。

トゥスク欧州連合(EU)大統領は、ツイッターで「偽ニュースの暴政でなく、自由、平等、友愛を選択したフランスの人々を祝福する」と述べた。投票前にソーシャルメディアでマクロン氏に関する誤解を招く情報が流れたことを念頭に置いた発言とみられる。

ジェンティローニ伊首相も、欧州に希望がもたらされたとツイートした。

トランプ大統領は、公式ツイッターで「マクロン氏のきょうの大勝利を祝福する。彼と協力することを楽しみにしている」と述べた。

*内容を追加します。

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