フランス大統領選挙、「中道マクロン」の苦悩 気鋭のカリスマは「右でも左でもない」
「それは希望を持たない人のすることだ」
今年2月、ロンドンの集会に登場した仏大統領選の中道・独立系候補エマニュエル・マクロンは、現地の3000人以上のフランス人から大歓声で迎えられた。マクロンはこわばった笑顔でぎこちなく手を振った。
39歳の小柄な政治家は、力強い視線が信念を感じさせる。変化を起こすという彼の誓いに、周囲は08年にバラク・オバマが最初の米大統領選に臨んだときを重ね合わせる。
「私の集会にブーイングとやじは要らない」と、彼は群衆に語り掛けた。「それは希望を持たない人のすることだ」
中道右派・共和党の有力支持者ながら、同党のフランソワ・フィヨン候補ではなくマクロンを支持する公共政策の専門家ジェローム・グランデノンは、フランスは何よりも変化を求めていると語る。「フランスのシステムは完全に行き詰まっている。人々は新しい顔を求めている」
昨年8月まで2年間、経済相を務めカリスマ性もあるマクロンだが、政界では比較的新顔だ。1年前に結成した政治グループ「前進!」は左派と右派それぞれの元支持者が集まり、双方の考えからえりすぐった綱領を掲げる。最新の世論調査によると、大統領選は5月に行われる決選投票で、マクロンが極右政党・国民戦線の党首マリーヌ・ルペンを破る見込みだ。