これからは「LCC出張」がフツーになる ジェットスター・ジャパン
─ 現在、国内LCCでシェアNO.1※です。好調な理由は何でしょうか。
片岡 ジェットスター・ジャパンは2012年7月、日本のマーケットでまだLCCがよく知られていない中で、航空機3機でスタートしました。運航開始から4年半、サービス、運航品質について、ようやくお客様のご理解をいただき始めたと思っています。特に安全運航、魅力的な料金体系、そして、定時運航率、欠航率、カスタマーサービスといった運航の品質を向上させた結果だと考えています。
─ ブランド力も向上しています。
片岡 ジェットスターは2007年、オーストラリアのシドニー空港から関空に初めて乗り入れて以来、約10年が経ちました。オーストラリアのジェットスター航空、シンガポールのジェットスター・アジア、そして、ジェットスター・ジャパンはそれぞれ会社の拠点は違いますが、ジェットスターという一つのブランドを使って、認知度を高めてきました。LCCとは、安かろう悪かろうではなく、運航コストを安くして、低価格を実現している。安全性に対する信頼性も既存他社と変わらない。そういった理解が日本のマーケットに浸透してきたからだと考えています。
─ ジェットスター・ジャパンの強みとは何でしょうか。
片岡 国内16路線という豊富な運航路線で国内LCC最大のシェアを誇っていることです。東京、大阪、名古屋と三大都市すべてで運航しているのは当社だけです。また低運賃での空の旅を提供するだけでなく、お客様の満足度についてもフィードバックを毎月路線ごとに集約するなど運航品質の向上に努め、社内で情報共有しながら、非常に細かなケアも行っています。
ビジネス旅客向けオプション「フレックスBiz」を開始
─ 今回、新たに国内LCC初のビジネス旅客向けオプションセット「フレックス Biz」を開始されます。
片岡 当社の調査によると、ジェットスターのお客様の約8割は旅行目的ですが、実は約2割のお客様にはビジネス目的でご利用いただいています。これまでも予約サイトの利便性向上や国内LCC初のモバイル搭乗、コンビニ決済など新しいサービスを開発してきましたが、もっとビジネス目的のお客様のニーズにお応えできるプロダクトを提供できないかと考えました。そこで生まれたのが「フレックス Biz」なのです。現在、成田─関空間や福岡路線でビジネス利用が多く見受けられます。今年3月26日以降の夏スケジュールでは成田─札幌路線を1日最大7往復から9往復に、関西─札幌路線を2往復から3往復に増便し、よりビジネスでもご利用いただきやすくなります。
─ 「フレックス Biz」の具体的な特徴とは何でしょうか。
片岡 まずは中小企業をターゲットに「LCCで安心・安全かつ低価格での出張」という新しいカテゴリーの創出を目指しています。ジェットスターの基本運賃であるエコノミークラス「Starter」のオプションとして追加できる「フレックス Biz」は、搭乗日当日に同一区間のいずれの便へも変更が無料でできるほか、キャンセルの際は購入額相当のフライトバウチャーでの払い戻しも可能、その他の変更は変更手数料無料で承ります。
また、「Starter」では追加料金が必要である「スタンダードシート」(通常座席)「アップフロント・シート」(前方座席)の指定を無料でできるほか、合計7kgまでとなっている機内持込手荷物に加え、ノートパソコンなど座席下に収まる程度の手荷物の機内持込が可能となります。
─ どのように利用できるのですか。
片岡 「フレックス Biz」は当社サイト内に新たに開設する「Jetstar BusinessHub」(ビジネス出張サイト)で販売します。同サイトでは、それ以外のオプション「ちゃっかり Plus」「しっかりMax」の追加予約や、オプションなしの「Starter」の予約も可能で、これまでなかった予約後48時間支払いを保留できる機能を新たに設けることで、スケジュールが確定しない段階での予約にも対応しています。また、月次レポートの自動配信により経費処理作業の負担を軽減できる機能も備えています。
就航4年で単年度黒字化達成最高の安全性と顧客開拓に注力
─ これからのLCCの国内需要をどのように見ていますか。
片岡 LCCが日本のマーケットに参入して以降、航空需要が予想外の伸びを示しています。これはお客様の利用頻度が増えていることが理由です。LCCは今、既存他社とマーケットの取り合いをすることなく、まったく別のセグメントとして成り立っているのです。現在、日本におけるLCCのシェアは約10%。同じく米国は30%、欧州で40%、東南アジアでは50%、オーストラリアも50%あります。国土交通省も2020年までに国内線のLCC利用率を14%に引き上げる目標を発表していますので、日本も将来、同様の動きが起こると私は予測しています。
─ 国際線についてはいかがですか。
片岡 現在、運航しているのが、香港、台北、マニラの3都市8路線です。香港は東京、大阪、それ以外は東京、大阪、名古屋の三大都市から運航しています。国際線は現在所有する20機をいかに無駄なく24時間運用できるかという視点から成田─香港以外は夜の便で運航しています。今後2019年までに8機増やし28機体制とし、新型航空機の導入も含め、国内LCCNo.1としてさらなる路線の充実をすすめてまいります。
─ 今後、会社として目指すものとは何でしょうか。
片岡 当社では一貫して、日本の空、世界の空をもっと身近にしたい。そして、より多くのお客様に低価格で安心・安全な楽しい空の旅を提供していきたいと考えています。就航4年で単年度黒字化(2016年度)を果たした今、さらなるステージに向かって、最高レベルの安全性を保ちつつ、国内LCCのリーディングカンパニーとして航空市場のさらなる拡大に貢献したいと思っています。
※国土交通省「特定本邦航空運送事業者に係る情報」輸送人キロベース(千km)平成28年度(2016.4~9月)