「トランプ砲」発射なら、円高へと突き進む 日米首脳会談に気をもむ外為市場

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 2月9日、日米首脳会談をめぐる外為市場の見方は、会談後の円安予想と円高予想に二分されている。日米同盟の強さが強調され、円安に戻るとの声がやや優勢だが、不規則発言を連発するトランプ大統領に注目する参加者は、円高予想に傾いている。2013年2月撮影(2017年 ロイター/Shohei Miyano)

[東京 9日 ロイター] - 日米首脳会談をめぐる外為市場の見方は、会談後の円安予想と円高予想に二分されている。日米同盟の強さが強調され、円安に戻るとの声がやや優勢だが、不規則発言を連発するトランプ大統領に注目する参加者は、円高予想に傾いている。通貨オプションでは「無難」な結果を織り込んで円安に備える動きも見られる一方、はしごが外されることへの警戒感も根強い。

オプション市場は円高予想が減少

日米首脳会談を控え、今週の外為市場でドル/円<JPY=EBS>は、111.50─112.50円の狭いレンジ取引となっている。しかし、通貨オプション市場をみると、「円安期待」がほのかに見え始めている。

ドル/円のリスク・リバーサル(RR)25%デルタは、ドル安・円高方向を示すドル・プット・オーバーの傾きが、足元では0.3%―0.4%に低下。トランプ米大統領の円安けん制発言直後に1.3%付近まで急拡大したが、7日ごろから傾き縮小の傾向が出始めている。

まだ、ドル・プット・オーバーの状態ではあるが、あおぞら銀行・市場商品部部長、諸我晃氏は「首脳会談の無難な結果を踏まえた(ドルの)アップサイドのリスクに備える動きだろう」と指摘する。

ドル高期待のシナリオはこうだ。日米首脳会談で、トランプ大統領は為替・通商面で具体的な注文・不快感を表明せず、日米同盟の強固さと友好関係を強調。首脳同士の信頼構築を前面に打ち出す──。

その見方を強めているのが、「ゴルフ外交」の演出。10日の首脳会談後、フロリダの大統領別荘に宿泊。翌日には近くのゴルフ場でプレーする。「友好ムードが醸成されれば、円売りが再開しそうだ」(国内金融機関)という。

日本側の「手みやげ」効果に注目する市場関係者の声もある。関係筋によると、日本政府が作成を進める「日米成長雇用イニシアチブ」には、米国内のインフラ投資で4500億ドル(約51兆円)の市場創出効果があり、70万人の雇用を生み出すと明記されるという。

「好評価されれば、対日の強硬姿勢が和らぐかもしれない」(同)というわけだ。今回の首脳会談で厳しい批判が出なければ「115円方向に戻す余地が生まれる」(邦銀)との思惑も出ている。

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