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既存の枠を超えてグローバルに活躍 大阪大学 インタラクティブ物質科学・カデットプログラム

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3カ月の海外経験が学びへの意識を高める

浅野 元紀
(基礎工学研究科)

そのほか自らの成長を明確に自覚する好機が、国内外でのインターンシップや留学などだ。共同研究者をたどり、アメリカのセントルイス・ワシントン大学で3カ月間を過ごした浅野元紀さん(基礎工学研究科)は「私が研究する光エレクトロニクスについて先端的な研究室で刺激を受けました」と振り返る。英語が苦手だったという浅野さんだが、「物質科学英語」などの授業で英語の論文作成やプレゼンテーション力を徹底して鍛えたことで、初めての海外での研修を実りあるものにできたという。

松本 咲
(理学研究科)

「研究成果をあげるためには相手を説得する力が必要なのだと実感しました」

そう語ったのは、イタリアのミラノビコッカ大学で海外研修を経験した宮野さん。「最初は博士号も持っていない外国人学生である私の言うことに、誰もほとんど耳を貸してくれませんでした。そこで裏付けになるデータを集めて論理的に説明し、相手を納得させて初めて自分のやり方で実験させてもらえるようになりました」と悪戦苦闘した日々を明かす。

さらに松本 咲さん(理学研究科)は「周囲を巻き込んでいく力の必要性」を痛感したと、後を受ける。

「専門外の人から足りない知識を補い、周囲の知恵を結集することで一人では太刀打ちできない難しい課題も解決できると知りました」

とりわけドイツのマックスプランク研究所で共同研究に従事した際には、世界各国から集まった同世代の研究者がしのぎを削る環境に身を置いて、「やりたいことがあるならきちんと意思表示し、一緒にできる人を探すことが重要。能動的に動かなければ何も始まらない」と考えるようになったと自らの変化を語った。

カデットプログラムの真価が問われる

カデットプログラムでの経験は、学生たちの意識に大きな影響を及ぼした。当初はアカデミアの世界に残って研究することを考えていた松本さんは、「多くの人を巻き込むことで一人では成し遂げられない大きな目標に到達できることを知り、社会を変えるような仕事に携わりたいという思いが膨らんだ」とコメント。

高等専門学校から大学院へと進学した浅野さんは「量子力学に関する研究を進めたい。いつか量子力学が高等専門学校の科目の一つになるほど、モノづくりやエンジニアリングの現場にも応用できるようになるまで浸透し、発展する。そんな未来に貢献することが夢」だと言う。カデットプログラムを経た学生たちは、広い視野で世界を見渡し、より大きなフィールドで自らの力を生かそうとしている。

そんな学生の姿に、木村教授もこのプログラムの確かな手応えを感じている。

「今後人類がどのような課題に直面するのかを予測することは不可能です。しかしどんな課題でもきっとそれぞれのフィールドでそれらを力強く突破していってくれるはずです。ここを巣立った人が10年後、20年後にどのような活躍をしているか。そこにこそプログラムの真価が表れます。それを楽しみに待ちたい」。これからの活躍に期待する木村教授の顔は明るい。

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未来戦略機構 第三部門 インタラクティブ物質科学・カデットプログラム
 http://www.msc.osaka-u.ac.jp/