患者さんの人生をかえる新薬開発に挑み続ける

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新しい治療テクノロジー、がん免疫療法に期待

アストラゼネカの開発品目の多くを抗がん剤が占めています。がん患者さんにはアンメット・メディカル・ニーズ(満たされない医療ニーズ)がまだ多く残っているためです。がん治療には外科手術や化学療法や放射線療法が用いられてきましたが、2000年以降は分子標的薬の登場により大きな進展がありました。今後は免疫療法が治療の大きな柱になると期待されており、当社も開発を急いでいます。免疫療法に用いられる免疫チェックポイント阻害剤は、別のチェックポイント阻害剤と併用することで、より高い治療効果を引き出すことも期待されています。イノベーションは突然やってきて、展開は速いのです。

安全を重視して育薬

新薬がどのように患者さんの治療に役立てられ、その価値がどう評価されるか。それは効果だけでなく安全性においても同様です。治験段階で十分なデータを取りますが、市販後に多くの患者さんに広く使われることで、より多くのデータが集積されます。育薬という面から有効性と安全性の情報をタイムリーに把握し、現場に情報を提供していくよう、日夜努めています。

谷口 忠明
専務取締役執行役員 研究開発本部長

国内外での臨床外科医、腫瘍外科医として勤務を経て、メルク/MSD社(当時、万有製薬)にて、執行役員として日本の研究開発副本部長などの要職で多岐にわたる疾患領域や臨床開発部門を率い、その後、ブリストルマイヤーズスクイブ社にて専務執行役員研究開発本部長として開発戦略を統括。2015年にアストラゼネカに入社し、4月より取締役執行役員研究開発本部長に就任。1991年鳥取大学医学部を卒業。1999年 Imperial College,Science, Technology and Medicine(現インペリアル・カレッジ・ロンドン)でPh.Dを修得

アカデミアと提携へ

日本のアカデミアは非常に優れています。国立がん研究センターとは、2011年に包括契約を締結して以来数々の共同研究をしていますが、2016年12月には、肺がん患者さんにより精密な医療を提供するためのバイオマーカーを探索するプロジェクトに参画しました。その他、東京大や大阪大とも新薬探索に関する提携をしています。日本の優れたサイエンスを基盤に新薬を開発して、グローバルに生かしていこうとしています。

外科医から転身、後進のキャリア育成も視野に

私は外科医を5年半やっていました。がん治療は外科手術が全盛の頃でしたが、進行したがんや広く転移したがんには手術も化学療法も限界がありました。その後、海外で研究者として3年半過ごした頃、縁あって製薬企業に誘われました。その時、研究に協力いただいた、治療法がないため余命が限られた患者さんに「良い薬を早く開発してください」と言われたことが強く蘇り、進む道を決めました。新しい治療を望む患者さんに貢献できる、やりがいのある仕事です。臨床経験から、患者さんが何を悩み、どこに治療の問題があるのか、いつも考えています。日本には約350の製薬企業があり、約250人の医師が働いているそうです。アストラゼネカには24人の医師が在籍しており、製薬企業も医師のキャリアパスの一つになります。医師にリーダーのスキルを学んでもらう取り組みもしています。

自らの将来ビジョン

製薬業界で16年間様々な経験を重ね、米国と中国でも開発マネジメントを経験してきました。今の仕事は、ヘルスケアで人々に役立ちたいという私の思いにぴったりフィットしています。開発とビジネスのシナジーをもたらし、5年で売上を倍増させ、800万人の日本の患者さんに貢献したいと考えています。医師である私は、サイエンスを共通のよりどことするビジネス畑の方と一緒に仕事ができるのは刺激的です。

アストラゼネカ 英国に本社を置く新薬開発型製薬企業。日本では1970年代から活動を開始、本社は大阪、従業員約3000人。2015年度の売上高は2412億円、薬価ベースで国内8位(市場調査会社IMS社調べ)。日本は米国や欧州に次ぎ、世界3位の市場規模、グローバル売上全体の約10%を占める。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されている。 日本においてもオンコロジー、循環器・代謝疾患、呼吸器・自己免疫疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動している。