早稲田大学

ここに次世代のグローバルリーダーがいる 早稲田大学

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俯瞰力を養うため、専門知に根差した情報取得・表現スキルや、情報社会でリーダーシップを発揮できるメディアリテラシーを学ぶ「ジャーナリズムコース」、技術の商品化・事業化を成功させる価値創造プロセスを総合的にマネジメントするための基礎技術を学ぶ「スーパーテクノロジーオフィサーコース」など、独自のカリキュラムをそろえている。

また、進取力の養成の中で、注目したいのが、国内外の企業や国際機関で異分野のテーマに挑戦する企業インターンシップと、海外の一流大学の研究室や研究機関で研究に取り組む海外研究機関実習である。共に必修科目として設置している。

3カ月のインターンシップで驚くほどの成長を遂げる

株式会社ブリヂストン
元ブリヂストンアメリカ中央研究所社長
毛利 浩

企業インターンシップでは、これまでにブリヂストンアメリカスやP&G、BASF、経済開発機構や国際原子力機関などに学生を派遣した実績がある。そのうちの1社、ブリヂストンアメリカ中央研究所の社長を2014年末まで務めていた株式会社ブリヂストンの毛利浩氏は、次のように語る。

「米国の企業は、社会貢献の観点からもインターンシップを積極的に受け入れています。ブリヂストンアメリカスも米国に限らず各国のインターンシップを毎年10~20名くらい受け入れてきました。ただ、これまで日本の大学の学生を受け入れたことはありませんでした。日本の大学は極端な場合、1週間という期間を設定してきますが、それでどれだけの成果が期待できるでしょうか。早稲田大学のリーディングプログラムでは、インターンシップを3カ月間としています。これは5年間の一貫教育だからできることだと思います。3カ月間なら十分成果が期待できますし、受け入れた学生を指導する側にとってもいろいろ学びの機会が与えられると判断して、早稲田大学の申し入れを承諾しました。

実際の企業の現場で、どういうことをしているのか実地で学び体験してから再びアカデミアの世界で勉強するのと、そういうことを知らないまま勉強するのとでは大きな違いがあります。これから社会に出てリーダーとなる人材には俯瞰力が不可欠。しかし、俯瞰力は社会に出てみないとなかなか養えません。だからインターンシップはとても重要なのです」

2014年2月から3カ月間、ブリヂストンアメリカ中央研究所でインターンシップを経験したのは、現在先進理工学専攻5年生の加藤遼さん。もともとの専門分野とは異なる研究テーマに取り組んだ。毛利氏は振り返る。

「加藤君は、積極的に多くの社員と接して徐々に人の輪を広げていき、やがて自分で仕事の企画ができるようになりました。3カ月間でも、人は十分変わることができるのです。私は今、早稲田大学リーディング理工学博士プログラムのアドバイザリーボード委員としてリーディング生の研究報告会などにも関わっていますが、加藤君はトップの成績でした。日本はグローバル化していくしか生きる道はありません。グローバルでリーダーになるには博士号が必要です。実際、アメリカの研究所の部課長クラスのほとんどが博士ということからも明らかでしょう。早稲田大学にはぜひ、グローバルな舞台でリーダーになれる人材をこれからも育てていってほしいと期待しています」

10月、英国の科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に加藤さんの論文が掲載された。これがいかにすごいことかは、科学の専門家でなくても想像がつこう。

グローバルで活躍するリーダーを社会へ

早稲田大学
先進理工学研究科先進理工学専攻主任 教授
朝日 透

実際、5年間のプログラムを終え、博士号を取得した学生はどういう進路をとるのか。プログラムコーディネーターであり先進理工学研究科先進理工学専攻主任の朝日透教授は「1期生の7割はアカデミア以外の世界に行くことがほぼ確定しています。次に続く学年の学生らの調査をしていても、同様の傾向があります」と手応えを感じている。

「こうした人材育成の取り組みを承継していくためにも3割くらいは大学に残ってほしいと考えていますが、グローバルな舞台でリーダーシップを発揮できる人材を育てるのが目的ですから、やはり7割くらいは企業や国際機関などに進んでもらいたい。いろいろな専門分野から個性のある人材が集まり、まるで梁山泊のような雰囲気の中で5年間切磋琢磨してきたのですから、どんな世界に進もうと大いに活躍するでしょう。ここまでの経験でそれだけの手ごたえは十分感じています」

2017年3月、リーディング理工学博士プログラム1期生が全課程を終え、それぞれの道を歩みだす。早稲田大学の果敢な取り組みの本当の答えが出るのは、修了生たちの活躍ぶりが明らかになってからのことになる。5年後、10年後が楽しみである。
 

お問い合わせ
早稲田大学リーディング
理工学博士プログラム
http://www.leading-en.sci.waseda.ac.jp

※加藤さんのインターンシップ体験記はHPのニュースレター5号に掲載