新たなビジネスモデルで地方創生に貢献したい フューチャーベンチャーキャピタル

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IPOに依存しないベンチャーキャピタルの新しいミッション

─ 新しいミッションを掲げられています。その背景についてお話しください。

代表取締役社長
松本 直人
Naoto MATSUMOTO

1980年生まれ。 大阪府出身。 神戸大学経済学部卒業。 新卒採用により2002年入社。 2011年取締役就任、2016年1月より現職。 入社以来、ファンド企画、募集からベンチャー企業への投資実行、 育成支援まで、VC業務全般を経験

松本 2016年、私の社長就任を機に、「100年継続企業を創る」というミッションを設定しました。ベンチャーキャピタル(VC)のミッションは成長企業にリスクマネーを供給し、成長をサポートすることです。経済の活力維持に必要な役割なのですが、ただ日本の場合、ベンチャー投資の出口戦略は多くがIPOとなっており、選択肢が限られています。しかしIPO時の初値騰落率は大きく変動し、環境が悪いとIPOの件数そのものが減ってしまいます。

─ IPOへの過度な依存には課題があるということですか。

松本 はい。ですからIPOによるキャピタルゲインに依存せずに成長のリターンを得られる仕組みが必要なのです。たとえば議決権を持たない種類株式を取得し、投資した企業のビジネスが成長し収益が上がれば、その種類株式を自社株買いで引き取ってもらうことも一つの方法です。

─ これまで地方創生ファンドに積極的に取り組んでおられますが、地方でも「100年継続企業」を創っていくと。

地方創生ファンドの一つ「京都市スタートアップ支援ファンド」を2016年4月設立

松本 当社では、現在、地域の金融機関や地方自治体と連携しながら10の地方創生ファンドを組成、運用しています。地方創生で当社が果たす役割は、開業率の向上、廃業率の低下、そして事業の創生の三つだと考えています。これを地方創生パッケージと呼んでいますが、今後、当社だけで地方創生ファンドの数を拡大していくには限界があることも事実です。ですから地域の金融機関や自治体、企業と連携する新しいビジネスモデルを構想しました。当社は、これまでに培った地方創生ファンドの経験を生かし、成長企業の発掘や目利き、投資した企業の成長を支援するさまざまなノウハウを地域の金融機関などに提供し、タッグを組んでファンドを運営するというものです。そういったファンドを100、200と組成することで、日本に不足しているリスクマネーの供給額を倍増させたいです。

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