アクロンで「浴衣&水着洗い」を訴求し売上向上
「実は水洗いが効果的!制服・スーツの『テカリ』の上手な対処方法」という記事が掲載されている――(2016年11月現在)。ライオンの生活情報メディア「Lidea(リディア)」の記事である。2014年10月に同サイトがスタートしたときには、「ライオンがいよいよオウンドメディアを開設した」と大いに注目された。
中村大亮
それに対して、同社 宣伝部 デジタルコミュニケーション推進室 主任部員の中村大亮氏は、「オウンドメディアやコンテンツマーケティングのブームに乗って『Lidea』を立ち上げたわけではありません。当社にはこれまでも、お客様とのコミュニケーションを行うためのさまざまなコンテンツがありましたが、情報が複数のサイトに散在していました。『Lidea』ではこれらを読みやすく整理するとともに、スマートフォンでの閲覧性を高めました。さらに、データを一元管理しオンラインだけでなくオフラインの広告や店頭販促(POP)などのマーケティング施策にも活かしたいと考えました」と、その狙いを語る。
実際に、「Lidea」を見ると、冒頭のように「お洗濯」のほか、「お掃除」、「キッチン」、「歯と口の健康」、「健康・美容」、「子育て」などについて、生活者の疑問や悩みに応えるコンテンツがそろっている。回答しているのは、ライオンの「暮らしのマイスター」と呼ばれる5人のスペシャリストだ。単なる商品の紹介ではなく、読者のニーズに応える課題解決情報が掲載されている点に特長がある。
「データを活用した具体的な取り組みも始めています。たとえば、おしゃれ着用洗剤の『アクロン』を夏場にもっと使ってもらうためのアプローチです」。中村氏によれば、「アクロン」はこれまでのブランドイメージから「毛糸洗い」のイメージが強く、夏場には売上に苦戦していた。「ところが、夏場の『アクロン』のサイトでは『浴衣』や『水着』などのコンテンツの閲覧が多いことがわかりました。そこで2015年の夏には、Webのバナー広告、テレビCM、店頭のPOPなどで、『浴衣や水着にもアクロン』と訴求したところ、売上を伸ばすことができました」と中村氏は話す。
GWは「大物洗い」の記事のアクセスが増加
データから、顧客のニーズを分析するとともに、オフラインも含めたマーケティングに活用することで、売上向上などの成果につながることが実証されたのだ。「そこで、今年のゴールデンウィークにはさらに『Lidea』のデータを活用し、ホームセンターなどの販売店様と連携し、一歩進んだ施策を行いました」と中村氏は振り返る。
ゴールデンウィーク前、ホームセンターではキャンプ用品やバーベキュー用品など、行楽・レジャーの売り場をつくるのが定番だ。「ゴールデンウィークだからといって、日本中の人が全員、海や山に行くわけではありません。では、家にいる人は何をしているのか。実は以前から大型連休の前に『Lidea』の中の、布団やカーテンなど大物洗いの記事へのアクセスが増えることがわかっていました。そこで、今年は、これを提案してみようと考えたのです」。
この大物洗いの売り場づくりにいくつかの販売店には賛同をもらい、実際の売り場にて展開されたという。「洗剤や漂白剤など当社の商品だけでなく、洗濯ネットや物干し台など、他社の商品も含めた『ゴールデンウィークに大物洗い』を売り場に設置いただきました」(中村氏)。その結果、洗剤などの売り場確保につながっただけでなく、関連する商品も同時に買ってもらう機会が増え販売店からも好評を得ている。
「Yahoo! DMP」を活用し、「コト軸」を提案
ゴールデンウィークの「大物洗い」が社内だけではなく販売店にも好評であったことから、新たな取り組みを進めているという。
「今秋から進めているのが、衣替え売り場の提案です。消費者のニーズを知るため、当社が持っているデータだけではなく、ソーシャルで何がつぶやかれているのかソーシャルリスニングを行ったり、どのような検索をしているのか『Yahoo!JAPAN』の検索キーワードを調査しました。その結果、シルバーウィークに衣替えをする人は断捨離も一緒にするような用意周到な几帳面な方が多く、9月末に衣替えをする人は気温に反応するタイプで最も多く、10月中旬になると『さすがにやらないとまずい』というように衣替えを行う方が増えてくるということがわかりました。このようなお客様の気持ちや性格も含めた新しい切り口の訴求ができないかと考えています。販売店様は、新商品などの『モノ軸』ではなく『コト軸』での提案を望まれるようになっています。他社商品も含めワンストップで衣替えのニーズに応える売り場をつくることができれば、販売店様の売上にも貢献できます」(中村氏)。
「Yahoo!JAPAN」の検索キーワードからニーズを知るために活用した「Yahoo! DMP」で新たな発見もあったという。「制服の衣替えについてもニーズが高いというのはわかっていましたが、制服の衣替え開始前日の9月30日前後、衣替え期間の終了の10月14日前後に興味の高まる瞬間があるのです。学校の近くの販売店にはその時期に制服の衣替え提案をすることも可能ということです。『Yahoo! JAPAN』には、当社にはない膨大な検索データや、『Yahoo!知恵袋』などのコンテンツがあり、お客様のニーズを細かく分析することができます。まさに、世の中の課題データの集積所です」と中村氏は話す。「Yahoo! DMP」と連携することにより、自社だけではつかみきれない領域の情報もカバーすることができるのだ。
自社の営業部門など、販売の最前線の部門でも、デジタルデータの活用に対する関心が高まっているようだ。「社内でも『お盆には何かできないか』、『洗剤以外の他の商品でできないか』というような相談が増えています。マーケティング活動をさらにブラッシュアップさせたいですね。将来的には商品開発などにもデータを活用できればと考えています。そのためにも、ヤフー様には引き続き、協力をお願いしたいと思っています」(中村氏)。
