その便利さの未来を考えてみた アメリカン・エキスプレス
都内とハワイに拠点をもち、コンサルティングや投資事業を手掛ける35歳。妻との二人暮らしで子供はいない。都内に事務所を構えているが、ハワイほか、ニューヨーク、ロンドンなど頻繁に海外出張をこなす。ただ、決してハードワーカーではなく、スケジュールでは湘南やハワイでサーフィンをすることを優先する。早い段階から起業の道を選んだ。多忙ゆえに日用品もネットで購入するが、友人・知人との会食や妻との時間を大切にしている。
本城郁子(ホンジョウ・イクコ)
淳一の妻、郁子。外資系IT企業に勤める33歳。自分のことを「ミー」と呼ぶ。女子大を卒業後、ニューヨークに留学。夫とは前々職での社内結婚。通勤の移動時間によくスマホでショッピングをする。ネットニュースサイトの購読者である一方、毎月ファッション誌も購入。流行の情報はしっかりチェックし、基本は女子であることを忘れない。旅行は何より好き。ちょっと見栄っ張りで友人・知人にはいつもご馳走してしまう。
本城淳一は、渋谷区にある賃貸マンションの一室を自宅兼事務所にしている。起床は朝5時。すぐにバスルームに直行し、1時間ほどバスタブに浸かりながら、読書をするのが習慣だ。今日は経営学の古典を再読した。何回目だろう。仕事で迷ったときには、必ず古典を読むようにしている。
その後、海外からのメールをチェックしながら、コブサラダ、クロワッサン、コーヒーで朝食を食べる。妻はまだ寝ている。
淳一は国内企業向けの経営コンサルティングを仕事にしているが、海外進出サポートや個人で投資事業も行っている。そのため、一年のうち半分は海外で過ごす。その中心となるのはハワイだ。学生のころからサーフィンが好きだった。海辺で育ったせいもあるが、サーフィンで得られる爽快感は何事にも代えがたい。
だからこそ、その本場であるハワイに第二の拠点をもつことになった。ハワイはある意味、趣味の世界だが、仕事ではニューヨーク、ロンドンなどを回る。ビジネスはグローバルであることを実感する毎日を淳一は過ごしている。
そんな淳一がいつも海外を旅していて、つくづく思うのは、クレジットカードは必需品であるということだった。海外では現金よりクレジットカードのほうが使い勝手がいい。現金を使うのはチップくらい。チケットも買い物も食事もクレジットカードを使う。
一方、日本ではずっと現金を使っていたが、最近ではあまり使わなくなった。スマホでネットショッピングをするようになってから、いつの間にか、そうなったのだ。
クレジットカードとスマホさえあれば、ビジネスでどんな状況でもすぐに動けるし、世界中どこにでも行ける。淳一はいつもそう思っている。
今日のスケジュールをスマホでチェックする。8時より都内のホテルで情報交換会がある。淳一は都内での移動は主に自転車を使うことにしている。当初はダイエットのために始めたが、今では自転車での移動時間が頭を整理するための欠かせない時間となっている。
今日は外食産業の最新トレンドについて知人が語る予定だ。淳一もニューヨーク出張から帰ってきたばかりで、ブルックリンの最新トレンドについて話すつもりでいる。
「ねえ、淳くん。今日の夜は仕事で遅くなるから、夕食は一緒には食べられないよ」
妻の郁子が目覚めたようだ。TVでは朝7時のニュースを伝え始めた。
「そうか。こっちも夜は会食があるから、ちょうど良かった」
今日は夜にクライアントの新製品開発プロジェクトメンバーとの顔合わせがある。
「ねえ、そういえば、来月またハワイに行くでしょ。そのときミーに買ってきてほしいものがあるの」
郁子はいつもそんな注文を淳一にする。だが、結局は自分で買ってしまうことが多い。郁子も淳一同様、仕事で忙しく、電車の通勤時間中にスマホでネットショッピングをする。
淳一の場合、スーツだけはセレクトショップで買うことが多いが、郁子はスマホで何でも買ってしまう。いつも「こんなものもスマホで買えるのか」と驚くのは淳一のほうだ。
「ハワイに行っても、君のほしいものを探す時間がないんだ。今回はハワイ経由で、すぐにサンフランシスコに行かなければならないからね」
「そうなの? だったら仕方ないわね。この前、ファッション誌で見たの。モデルが使っているスーパーフードなんだけど、ミーも海外のサイトで探してみるわ」
ちょっと拗ねたように答えた郁子は、そのままバスルームに消えていった。
淳一はスマホのニュースサイトで経済ニュースをチェックし始める。最近注意して読んでいるのは、人工知能やIoT、フィンテック、自動運転、シェアなどのキーワードが入ったニュースだ。ITトレンドの変化は目まぐるしい。世の中のリアルなサービスがこれからどんどんIT化されていくのは間違いない。つねに最先端のトピックをチェックしていなければ、いつの間にか取り残されてしまうだろう。
先日もワシントンD.C.に出張に行ったとき、スマホの配車サービスを試してみた。サービスを利用すると、簡単にタクシーを拾えないような場所に行っても、スマホから指示を出せば、数分で迎えにきてくれる。待っている間も、そのクルマがどのあたりまで来ているのか、スマホ画面を見ればわかるし、支払いもクレジットカードの決済で簡単。運転手を格付けするシステムもあるから、サービスもいい。
「配車サービスに自動運転が加われば、将来サービスはどう変化するのだろう」
日本企業の現地駐在員である友人と、ジョージタウンのイタリアンレストランでそんな会話をしたとき、話を突き詰めて出た結論は、「便利さに、さらに便利さを重ねることで、僕たちが想像もできないような新しい世界が訪れるかもしれない」ということだった。
時間を無駄にしたくない
その起点になるのがスマホだと淳一は思う。お金の管理もそうだ。クレジットカードとスマホを組み合わせると、買い物をすればポイントが貯まるし、明細を見れば、その月にいくら使ったのかも一目瞭然だ。自分の購入データをもとに、自分がほしかったサービスも自動的に情報提供してくれる。今後、フィンテックが進化すれば、金融サービスはさらに新しいかたちに生まれ変わっていくだろう。
そんなことを考えながら、淳一はふと自分の将来に思いを巡らせた。
淳一は日々仕事で忙しいが、仕事がすべてだとは思っていない。大金持ちや社長になりたいと思ったことも一度もない。
大事なことは人生を楽しむことだと思っている。一緒にいて楽しい家族や友人がいて、楽しくお酒が飲めて、ぐっすり眠れたら、人生でほかに必要なものはないと心底思っている。それに空いた時間にサーフィンができれば、それ以上望むものはない。これからの将来もそうありたいと思っている。
淳一にとって仕事はあくまでも自分を自由にしてくれるための手段なのだ。だからこそ、仕事では決して手抜きもしないし、そのための時間を無駄にしたくはない。
「人生は長いようで短い」
先輩の経営者にそう言われたことがいつも頭に残っている。仕事をきちんとこなしてこそ、自由な時間も思い切り楽しめるというものだ。
郁子がいつの間にか、バスルームから出ている。鏡の前で化粧をしながら、淳一に言う。
「ねえ、今週の土日は空けておいてよ。ミーが好きな現代アートの展覧会を金沢でやっているから、一緒にいくわよ」
「わかった、わかった。なら、チケットをスマホで予約しておこう」
「食事は私が好きなところを予約するから、ホテルはあなたに任せるわ」
「了解。でも、あとでやっておくよ。これから仕事だからね」
そう言うと、淳一は玄関を出て、エレベータで地下駐車場においてある自転車へと向かった。時計を見ると、現在7時30分。情報交換会のあるホテルまで20分で着くはずだ。
街は通勤の人たちで活気づき始めていた。空は青く、少しひんやりした風が漂っている。走り始めると風がなんとも心地いい。淳一は、そんな朝が好きだ。
※ところで、本城淳一と「ミー」こと妻の郁子が持っているクレジットカードは、アメリカン・エキスプレス。
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をはじめ、二人とも多彩なサービスを使いこなしてる。