「お客様の悩みこそがビジネスの種になる」
だから、手間暇をいとわない
当社のビジネスです」
取締役専務執行役員
藤谷 修
「相談された悩みに対してどのような解決策が考えられるか……。つねにそのような視点で考えることによって、挑戦する領域が拡大していきます。しかも、一つひとつ異なる悩みに対して、丁寧に、そして手間暇を惜しまずに解決策を探し出していく。そうした仕事のやり方が浸透しています」と語るのは藤谷修取締役専務執行役員。事実、大和ハウス工業の問題解決力に引き寄せられるように、さまざまな相談が持ち込まれているようだ。実際、取り扱う領域は多種多様で幅広い。最近では、スーパーマーケットやドラッグストアなどにとどまらず、輸入車のショールームやホテルなどの出店ニーズが多いという。
大和ハウスグループは「ダイワロイネットホテル」ブランドでビジネスホテルを展開しており、ホテル建築の多くは商業施設事業部門が担ってきた。近年、さまざまな企業からホテル開発や建設の引き合いが急速に増えている。
「必要な客室数と希望エリアを指定され、ホテルの建設が可能な土地情報から提案してもらいたいと要望されるケースが最近は多くなっています。こうしたニーズにお応えするため、指定されたエリアでの土地活用希望の物件情報を把握します。土地オーナー様に直接お会いし、将来のご計画や現在抱えている問題についてお話をお伺いするのです。
もちろん、すぐに対応いただけるケースばかりではありません。手間と時間がかかりますが、直接お会いしてご要望や悩みを確認しているからこそ、テナント企業様にご納得いただける物件情報の質や量を確保できているのだと考えます。実際、エリアの情報をテナント企業様に提示すると、『地域に密着した素晴らしい情報力だ』『オーナー様とそこまでお付き合いするのですか』と驚かれる方も多いです。これこそが大和ハウス工業のノウハウであり、大和ハウス工業の強みなのです」と続ける。
一方、ニーズに合った施設を提案することで、数多くの企業の出店を支え、成長戦略にも貢献している。
立体的・平面的な複合開発など
最適なプランを提案
一方、藤谷氏は、「日本のビジネスホテルが海外の問題解決に寄与するのでは」とにらんでいる。どういうことか。
「ビジネスホテルというモデルは日本で独特に進化しました。海外でも、安心感と清潔感があるミドルクラスの宿泊施設は、出張時の宿泊先の確保に苦労しているビジネスパーソンにも魅力的な選択肢となるでしょう。私自身の経験からも、海外ではラグジュアリークラスやインターナショナルチェーンとそれ以外の中級ホテルとの格差が大きいと実感しています」
複合開発事業も強みの一つだ。広島で地元企業2社と共同で進めている「(仮称)広島二葉の里プロジェクト」の場合、立体的な複合開発を進める。地下1階・地上23階の複合ビルを建設し、ホテルやオフィス、商業施設、さらに長距離・観光バスの乗降ステーションを設置する計画で、今冬に着工予定だ。
一方、東京都八王子市の「高尾サクラシティ」は平面的な複合開発の大型プロジェクト。戸建分譲住宅、分譲マンションと一体的に開発を進め、約6万3700平方メートルの敷地に大型複合商業施設を建設している。
「地域の特性や土地の条件を見極め、一つひとつ最適な開発の選択肢を提案します。しかも、全国の事業所ネットワークがあり、営業担当者はもとより、工事や設計担当者もそろえています。日本全国どこでもフルスペックの対応が可能です。」
拡大し続けるビジネス領域
提案の幅も多彩に
第5次中期経営計画において、商業施設事業は成長のエンジンの一つとなっている。最終年度の18年度に売上高6130億円、営業利益960億円を達成する計画だ。
「最近は、相続税対策に悩みを抱えている方が増えています。また、社会が抱えている課題に目を向けると、高齢化が進む中では、有料老人ホームや介護施設などの高齢者施設が検討できます。あるいは、待機児童問題に直面しているエリアなら保育所の建設なども考えられます。
さらに今、都心では会議スペースが確保できずに困っている企業様が多いのです。従業員の研修施設も不足しています。ならば、エリアによっては貸会議室や研修施設などを併設するといった事業提案も考えられるのではないでしょうか。
相続税対策だけではなく、制度や価値観の変化などによって次々と新たな課題が生まれています。社会に課題がある限り、問題解決を得意とする当社が貢献できる領域が増えていく。つまり、ビジネスが拡大し続けていくと考えています」
現在、商業施設事業が行っている開発案件のポートフォリオは、店舗案件と非店舗案件の割合が拮抗している。そういう意味では、今後、商業施設の枠を超えた存在になる可能性が大いに考えられる。それは現実のビジネスが大きく拡がっていることの証しにほかならない。海外も含めて今後は事業エリアもさらに拡大し、問題解決力に磨きがかかっていくことだろう。