“作り手”の発想、電子書籍が変える 【第2回】普及のカギはコンテンツ、タイトル数に意味はなし

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――電子書籍に向いているコンテンツとしてはどのようなものがありますか。

読者の視点で考える必要があります。 

たとえば、ノンフィクションの場合、グラフや図版などを多用している本が少なくありません。良質なノンフィクションは、脚注まで面白いものです。紙の書籍でこのような本を読む場合には、前のページに戻ったり、後ろのページの脚注を読んだりといった読み方も楽しいのですが、電子書籍ではそのような読み方は面倒です。

一部の端末では、図版などを固定して本文を読み進めることができるものもありますが、決して読みやすいというわけではありません。

逆に言えば、小説など、文章だけで完結するものは電子書籍に向いているでしょう。時代小説や推理小説など、一話完結の短編などは特にいいですね。

――電子書籍独自のコンテンツも生み出すことができそうです。

従来の書籍づくりの発想にこだわらず、新しいことをやってほしいね。

推理小説で、「事件編」の8割方は無料で読めるけれど、「解決編」の2割を読むのは有料です、とか。ほとんどの人は「ここまで時間をかけたんだから」と、有料部分も読むでしょう。作者によっては、こういった電子書籍スタイルだけの書き下ろしをする人も出てくるかもしれない。

雑誌の廃刊などで、写真も撮って文章も書くといった、いわゆるルポライターの仕事が減っている。若いルポライターで質の高い文章を書く人もいます。電子書籍なら、こういう人たちの活躍の場を提供できるかもしれないですね。

電子書籍ならではの、面白いコンテンツができるんじゃないかと思います。