数字も分析も「人」があつかう マクロミルの人材論を明かす
ところで、ここでひとつ例題。下の問いから読み取れる「消費者の食への思考」についてあなたなら、どう分析するだろうか?
〈下記の質問の意図を考えながらグラフを読み取ってください〉


※参考回答は最後に
躍進企業のバックグラウンド
マーケティングリサーチ業界を牽引しているマクロミル。取引企業数は6500社以上、アンケート専用モニター数はなんと500万人を超える。「企業と消費者の、より密接なコミュニケーションの実現」「誰もが手軽に使えるマーケティングリサーチシステムの提供」を謳い、幅広いソリューションをもたらしてきた。
上記の例題は、同社が行っている多彩なマーケティング業務のほんの一端だ。あなたが企業の製品担当であれば、消費者の行動や思考をいかに読みとくかが重要であり、そのためには確かな分析が不可欠となる。
テレビ、新聞、雑誌、インターネットメディアでも、細やかで説得力のある調査データの多くには、マクロミルのクレジットがある。2000年設立の決して歴史の長くない企業が、“マーケティングリサーチ分野のインフラ”といっても過言でないほどの信頼を獲得し、さらに成長を続けている背景には、一体どんな理由があるのだろうか。
「企業理念を全社的に共有できているのが大きいですね」そう語るのは、同社執行役の佐々木徹氏だ。

「『顧客が心から満足し感動するサービスをめざす』、というのが、当社の理念のなかでももっとも重きを置く考え方です。この理念を理解したうえで、社員がシンプルにクライアントさんと向き合い、課題を解決するため、自分ごととして考えて動いているのが、成長の一番の源泉になっていると考えています」。
海外展開、デジタル分野への進出など、事業は拡大を続けているが、その判断も当然「利益の追求」というテーマはありながら、同社の理念のバランスの上で成り立っているという。
「新しいサービス、新しい事業展開は、基本的にクライアントさんのニーズによるところが大きいんです。われわれが今、向き合っているクライアントさんがお持ちの課題を解決するために、新しいサービスが必要となる。一方で、リサーチというトラディショナルな業界において、デジタルという文脈でこれまでのものを壊し、新しいものを創造していく。壊す対象は、自分たちで作ってきたものも例外ではありません」(佐々木氏)

マクロミルの採用サイトを見ると、印象的なのはテクノロジーやシステムにも増して、「人」に強くフォーカスしていることだ。
成長の要は企業理念を体現し、クライアントの要望を察知する感性とホスピタリティに優れた社員と捉えているように思われる。「マクロミルな人とは、どんな人材か」と訊ねると、次のような答えが返ってきた。
「かつてはベンチャーマインドが強く、目立ちたがり屋が多かったのですが、今はもっと多様化しています。今は個人プレーではなくチームで動きますから、どんどん前に行く人もいれば、どっしりと構えて周りを支える人もいる。ただ、共通しているのは、誰もが目的意識をしっかり持っていることです」(佐々木氏)
アンケートから始まった同社の歴史。ここまでの急成長を考えれば、熱いベンチャーマインドは理解できる。そして変化を迎えた。
「マクロミルで働くことにより、自身のキャリア、ひいては人生をどうしたいか、という思いを持っている人が多い。それを持っていなくても、その場で足踏みせずに動いて探し続けます。成長意欲が強い、という言葉がぴったりくるかもしれませんね」(佐々木氏)
自由な発言、それは普通のこと
意識の高い社員が多い会社にありがちなギスギスとせめぎ合う空気はなく、風通しがいい。同社を訪れたクライアントは、口々に「雰囲気が明るい」「活気がある」と語るという。1000人規模の会社でもふだんから明るい挨拶が交わされている。部署間コミュニケーションも円滑で、自由に発言・行動できる社風。
「われわれのサービスの価値というものを考えると、お客さまの利用体験に少しでもマイナスな部分があれば致命的です。お客さまにとっての心地よさ、先回り感、データのクオリティ、それらを総合したコストパフォーマンス――“クライアントファースト”が大前提ですので、新入社員もベテランも関係なく、社内ルールが少しでもおかしかったり、サービスを向上する上で不都合だと感じたりしたら、すぐに言わなければならないと伝え続けているんです。『このフロー、おかしくないですか?』と言われたときに、『いや、これが決まりなので』と答えるのは最悪です」(佐々木氏)

また、人事担当の神谷友佳理氏は、社内でよく聞くフレーズとして「やればいいじゃん」という言葉を挙げる。「こうしたほうがいい、と思ったら、口に出すだけでなく、自分でやってみる。それを促すような言葉をよく聞くんです。もちろん、それが新規事業につながるようなアイデアであれば徹底的に、慎重に議論しますが、アイデアがあれば、新入社員であってもトライすることができます」(神谷氏)
社員にとっては刺激的で、さまざまな面で成長が望める環境があるようだ。それでは、マクロミルは今、どんな人材を求めているのか。「やはり柔軟性というか、変化に対応できる考え方を持っているかどうかは、非常に重要だと考えています。マクロミルという会社はこれまでも大きく変化してきましたし、外部の環境も日々変わっていくなかで、常にフレキシブルでなければなりません。変化を楽しむことができる、ポジティブな方と働きたいですね」(神谷氏)
この2~3年を振り返っても、マクロミルはシンガポールとメキシコに新拠点設立を発表し、新たなグローバルCEOとしてデジタルマーケティングのスペシャリスト=スコット・アーンスト氏を迎えるなど、大きな変革を起こしてきた。変化を楽しみながら、決して変わらない大きな理念を追い続ける――そうした人材が集まる限り、マクロミルの成長は続いていきそうだ。
- ●専業主婦層とシニアのみ層は、全体的に健康意識が他の層とくらべて高水準である。
- ●一方、DEWKS層はDINKS層、主婦層にくらべると健康への意識はやや低めである。
- ●「規則正しい食生活を心がける」、「栄養バランスに気をつける」など、食生活に関する意識は、DINKS層で比較的高め。