新入社員が出前授業で社会貢献
コニカミノルタの考える新しいCSRの形
コニカミノルタホールディングス
コニカミノルタホールディングスは2012年、東京、大阪、愛知の中学・高校7校の生徒を対象に、新入社員による出前授業を行った。教育CSRの一環として出前授業を行う企業は以前からあったが、新入社員全員が行う例はめずらしい。
「当社は、企業人として社会に貢献していくことを目的に、 2011年度から新入社員を対象に社会貢献研修を行っています。前回は南三陸町で復興支援作業を行いました。今回、出前授業にしたのは、子供たちの理科離れに対し、理科や科学に興味を持つきっかけになればと考えたからです。学校現場の要望もあり、キャリア教育の要素も取り入れました」(同社CSR・広報・ブランド推進部CSR推進グループ 松﨑倫明課長)。
新入社員に対しては昨年4月の導入研修のときに、「静電気をテーマに、実験を通じてコピー機の仕組みを教える」というミッションを伝え、実験内容は社員自身が半年かけて考え準備するように指示した。
111名の新入社員は13チームに分かれ、それぞれの役割分担や実験方法を検討。そうした準備活動により、時間管理やプロジェクト推進能力などを養うのも、研修の目的だったという。出前授業を実施する学校は公募で選定したが、応募数は7校を大きく上回り、学校現場のニーズを示すこととなった。
出前授業は2コマ100分、約450名の生徒が参加した。コ ピーの原理をわかりやすく伝えるため寸劇仕立てにするなど、各チームはそれぞれ工夫を凝らした授業を展開。またキャリア教育では、「中学・高校・大学・大学院での過ごし方」「硫酸の化学式を見てかっこいいと思ったことから研究の道に進んだ」など、新入社員はそれぞれ自分の経験をもとに語りかけた。
終了後実施されたアンケートでは「今日のプログラムは楽しかったか」との問いに「とても楽しかった」「楽しかった」という回答が100%に達するなど「予想以上に好評」(松﨑氏)で、学校現場の評価も高かった。新入社員の側も主体性を持って考え行動する大切さを知ったなどポジティブな評価。
この出前授業は、株式会社リバネスが主催する「教育CSR大賞 2012」において「出前実験教室 (中高生)部門賞」を受賞。コニカミノルタは新入社員の育成プログラムに出前授業を組み込み、 2013年度も実施の方針を固めている。