もはや、ただの「防御策」ではない
サイバーセキュリティは
企業の成長エンジンになる時代へ
シスコシステムズ
クラウドやビッグデータ、IoTなどネットワーク技術の進展を背景にした、さまざまな技術が注目を集めている。シスコシステムズ(以下、シスコ)の行った調査によると2018年までにITの80%はクラウドへ移管され、20年までには500億を超えるデバイスがネットワークに接続、また同年には一人当たり5テラバイトものデータを生成するようになるという。こうしたデジタル化とネットワーク化の加速は私たちの暮らしを根底から変え、産業分野においても日々さまざまなイノベーションを実現させている。
だが、あらゆるデバイスがネットワークに接続されるということは、それだけ企業が外部からのリスクにさらされるということを意味する。シスコでは現在200億を超えるサイバー攻撃の対処を日々行っており、その数は年々増加傾向にあるという。標的型攻撃、Web不正アクセス、ランサムウェアなど、サイバー攻撃が日々進化する現在、いまや全ての企業にとってセキュリティ対策の強化は喫緊の課題なのだ。
セキュリティ対策というと日本では、リスク回避のために行わざるを得ない支出という見方がいまだ根強い。だがグローバルに見るとその認識は変わりつつある、とシスコでチーフセキュリティ&トラストオフィサーを務めるジョン・N・スチュアート氏は語る。
「私たちが約1100社のトップに行った調査によると、サイバーセキュリティの重要性を認識している企業は9割以上。そして驚くべきことに、32%の企業が、サイバーセキュリティ対策がリスク管理だけではなく、自社の成長につながるものだと回答しているのです」
同調査では39%の企業が「これまでサイバーセキュリティへの懸念によってプロジェクトをキャンセルした経験がある」と回答しており、また71%の企業が「サイバーセキュリティが進めばよりイノベーションを加速することができる」と回答している。グローバルでは「セキュリティ対策は自社の成長に欠かせない投資」という認識が一般化しつつあるのだ。
成長エンジンとしての
サイバーセキュリティへ
それではセキュリティ対策を企業戦略に組み込む上で、どのような点を考慮すればいいか。スチュアート氏は「デジタルテクノロジーとサイバーセキュリティ、そしてスピードを有機的に機能させることが大切です。日々刻々と変化する今日においては、いかに市場へ早く参入するかが成功の鍵となります。そのためセキュリティ対策を別個のものと考えるのではなく、製品やサービスの一部として組み込むことが重要なのです」と語る。今後の市場では「デジタルで何をするか」がイノベーションの鍵になる。それゆえ、デジタルテクノロジーとサイバーセキュリティを両輪とした、スピード感のある経営が競争優位を保つ上でも必要となるのだ。