医薬品、医療機器メーカーが挑むオペレーション改革の今


都市開発事業本部 物流施設事業部長
山田譲二氏
その後、各ゲストスピーカーが米国ヘルスケア産業の構造変化やサプライチェーン改革などについて講演し、満員の聴衆は熱心に聞き入っていた。
共催:野村総合研究所、東洋経済新報社
協賛:野村不動産
基調講演
「米国ヘルスケア産業の構造変化と医療機器業界への影響」

グローバル製造業コンサルティング部 副主任コンサルタント
中原美恵氏
「米国の医療関連産業界では、政策立案者(政府)、医療費の払い手、医師・医療従事者、医療サービスの提供者(医療機関)、患者という5つのプレーヤーの動きが市場形成に強い影響力を持つ。したがって米国の医療関連業界のことを知るには、5つのプレーヤーの動きを見ることが重要になる」。中原美恵氏はまずそうした視点を提示したうえで、「米国では、成長産業であるヘルスケア産業への投資が増加している」と指摘。「ヘルスケアITを活用して、予防医療の産業化にも挑戦しようとしている」と語った。
そうした中で、「ハードウエアのベンダーに依存しないデータの収集技術を持っていたり、収集されたデータの高速解析が可能なデータベースや解析技術を持っていたりする新たなプラットフォーマーも誕生してきた。たとえばその中の1社は、慢性疾患の分野でソフトウエア開発者向けの開発ツールを実用化するため、米国の14の医療機関と提携している」。
一方、医療機器業界では、「医療機器メーカー向けのアウトソーシングサービスが多様化してきている。そうしたサービスのベンダーはグローバルな医療機器メーカーを顧客に抱え、大規模なR&D投資を行うとともにM&Aにより研究開発機能も強化している」。
米国のヘルスケア産業の実情をこのように解説した後、中原氏は「これからは、新しく登場してきた機能プラットフォーマーを活用することで、新規事業の開発などが低コストでできるようになる。日本の医療機器メーカーや医薬品メーカーも、顧客との直接的な接点を持っている強みを認識し、機能プラットフォーマーを活用して新規事業や新商品を開発することが重要になる」と指摘して話を終えた。