KEY WORD「システム建築」 建設需要に応え地方活性化も実現

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「最新のビジネス」が、一瞬で「過去のビジネス」になる時代。いまこの瞬間にも変化し続けるビジネス情勢に適応し、新たな希望を生み出すために、すべきこととは何なのだろうか。それは、つねに自らの情報を更新し続け、確かな準備を重ねておくことだろう。いまを、そして未来を切り拓くためのキーワードがここにある。

 KEY WORD「システム建築」
建設需要が盛り上がりつつある。東日本大震災の復興需要に加え、アベノミクスの影響や国際的イベントに向けた公共工事も増加。民間企業の設備投資も堅調だ。

だが、楽観はしていられない。最大の不安は、職人や管理者などの労働力不足の問題だ。少子高齢化の影響から、近い将来、特に現場の熟練工が大幅に不足することが予想されている。人材不足による工事費の高騰や工事の遅延なども懸念される。

このような課題を解決するものとして注目されているのが「システム建築」だ。システム建築の大きな特長は、部材の標準化である。建物の構成要素となる「鉄骨」・「屋根」・「外壁」・「建具」などに関する部材の寸法や形状、他の部材とのディテールや配置をルール化することにより、高品質でありながら、短工期・低価格を実現する。あらかじめ作成された施工図に従って施工すればよいため、熟練工でなくても高い施工精度が実現するわけだ。工期も、在来工法に比べて約2割も短縮できるという。

と言うと、システム建築とはプレハブのようなものと考えるかもしれないが、それは誤解だ。大きな違いは、設計の自由度である。プレハブ建築は、規格に基づいて製作された部材を組み合わせて建築する。それに対してシステム建築は、営業から設計、部材の生産、施工といった一連のプロセスをシステム化することで、経済性と品質を両立させることができる。実際に、システム建築会社の中には、1ミリ単位の柔軟な設計や最大60メートルもの大空間などを実現しているところもある。

システム建築は、工場・倉庫・物流施設・店舗・最終処分場などに適した建築工法である。注目すべきは、大手ゼネコンが手がけないような小規模物件でも対応が可能なことだ。建築生産プロセスがシステム化されているため、経営資源に限りがある地方の販売・施工代理店や建設会社でも参入できるのだ。今後は、人手不足などの課題解決だけでなく、地方活性化の引き金としても期待が高まっている。