セミナーレポート

女性が働き続けるための環境整備とは

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【特別講演Ⅱ】
働く女性の健康を守るには
潤滑な職場作りのために知っておきたい
女性のライフステージと健康

医学博士
宋 美玄

 産婦人科医の宋美玄氏は、女性のライフステージごとの健康問題とその対処について解説した。月経に関しては、約3割の女性が強い月経痛を抱え、頭痛や腹痛、イライラや落ち込みなどの月経前症候群が重い人も一定数いるという調査結果を紹介。宋氏は「日本では、痛みや精神症状を我慢しようとする傾向が強いが、放置することによる損失、職場環境への影響も考えるべき」と述べた。不妊に対する生殖補助医療は、受診に数時間待ちとなる医療機関も珍しくなく、仕事への支障が避けられない。子宮頸がんは、20~30代で増えており、性交渉経験者は検診が必要だが、受診の心理的ハードルは高く、プライバシーの問題も絡むため、啓発活動による受診率向上は限界があるとして、「婦人科検診を必須にするなどの制度も必要」という考えを示した。

 女性のヘルスケアの情報源が雑誌やネットなどに偏っている現状を踏まえ、「多くの女性に、まずは正しい知識を持ってもらうことが大事。たとえば、義務として出席するようなセミナーなども必要では」と提言した。

【事例講演Ⅰ】
輝く女性の健康管理
JALグループのコラボな取り組み

日本航空健康保険組合
事務局長
浦井 典子

 日本航空健保組合の浦井典子氏は、「健康経営銘柄」に選ばれているJALの女性活躍推進の取り組み事例を報告した。JALグループは、組織横断プロジェクト「JALなでしこラボ」を設け、女性活躍やダイバーシティ推進の研究を行っている。健保組合では、女性の健康を「知る」「チェックする」「実践する」取り組みを実施。健康に関する情報を機関誌などで発信、男性管理職も出席するセミナーを開催する。また、会場や受診機会の増設による婦人科健診受診を促進。中期経営計画と連動した「JAL Wellness 2016」で指標管理しながら、健康増進策を実践している。浦井氏は「本人をその気にさせ、自分で健康のデザインをできる人を作るのがポイントです」と強調した。

【事例講演Ⅱ】
ワコールにおける女性社員の健康状況と対策について

ワコール健康保険組合
健康開発チーム 課長
須山 有輝子

 男性約900人に対し、女性5000人の被保険者を抱えるワコール健保組合の須山有輝子氏は、費用や手間、休みを不要にする乳がん・子宮がん検診の受診環境整備を中心に報告した。受診しない理由に「忙しい」「面倒」が多いことから、定期健診のついでに婦人科検診も受診できるようにしたほか、社内でのバス検診導入が受診率向上につながったと説明。2次検査対象者への受診勧奨徹底も図っている。また、成功者へのプレゼント提供も含めた禁煙サポート、メンタルヘルスの相談環境整備も推進。健康経営銘柄に選定された同社は、がん検診受診率、喫煙率等の目標値を設定する計画を策定した。須山氏は「社員へのきめ細かなサポートを提供していきたい」と語った。

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