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ストレスチェック制度は、本人の気づきとして利用することに利点がある

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自分のストレス度合いを知る

「ストレスチェック制度」では、「ストレスの原因」や「ストレスによる心身の自覚症状」などに関する57項目(国が推奨)に回答することで、自分のストレス状態を知ることができる。健康状態を調べる健康診断のように、医師や保健師などが回答を検討し、結果は本人に通知される仕組みだ。チェック回答を精査した医師により、面接指導が必要と判定されたときも、本人の同意がなければ上司や同僚など職場の人は結果を知ることはできない。もちろん、医師の面接指導も、本人からの申出が必要となる。

一般的な健康診断でも、「要検査/要精密検査」といった医療機関の受診を勧める判定が出ることがあるだろう。結果をもとに受診するか否かを決めるのは、本人となる。また、「経過観察」の判定では、自ら日常生活の改善を行うことが求められる。自覚症状がなく、自分では健康と自負していても、健康診断の判定で「要検査」や「経過観察」となると、体内では不健康な状態が生じているのは、結果を見れば一目瞭然だ。

ストレスチェック制度の結果も、本人の気づきとして利用することに利点がある。厚労省の「平成25年 国民生活基礎調査」によれば、「悩みやストレス」があると回答した人は、48.1%に上る。国民の2人に1人は、悩みやストレスを抱えているわけだが、うつ病などの病気の症状が出ないと、本人も周囲の人も気づきにくいのが、ストレスのやっかいなところといえる。

たとえば、イライラして眠れないことは、よくある話だろう。その状態が続くと、身体が正常に働くために必要な生体リズムが乱れ、胃腸の働きが悪くなることで食欲不振や便秘・下痢などの症状につながる。免疫力も低下するために、風邪なども引きやすい。また、血流が悪くなることで肩こりなどがひどくなるといったことも起こる。心の不調は、体の症状に結びつくのだが、「ちょっと疲れているから」と見過ごされてしまうことも少なくない。その気づきとして、「ストレスチェック制度」は活用できるのである。

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