アフリカは「資本主義の限界」を見抜いている 日本人がアフリカ思想から学べることは多い
ウブントゥとは「他者への思いやり」
山田:『思想』アフリカ特集の小田マサノリさんと真島一郎さんの対談に中にある、「ウブントゥ」について説明をお願いします。
吉川:コンピュータのOSで、Ubuntu(ウブントゥ)というのがあるんです。南アフリカのIT起業で成功した、マーク・シャトルワースさんが2004年に作って、無料配布しながら、現在もバージョンアップされています。ウブントゥの理念は、「みんなで分かち合おうよ」という、アフリカのベースにある考え方を、世界に向けて開いていこうというものです。
ウブントゥという言葉は、シャトルワースが使い始めたものではなくて、もともとズールー語で、「他者への思いやり」という意味です。ネルソン・マンデラも繰り返し使っていた言葉です。『思想』の対談でも小田先生がおっしゃっていましたが、西洋の「コギト」つまり、デカルトの「われ思うゆえにわれあり」に対して、アフリカのコギトは「他者がいて、だから私たちがいるんだ」になります。「われわれは他者を通して人間として存在する」と。平たく言えばただの共同体主義のように聞こえますが、アフリカでは実生活でもみんなと何かを分有するというベースからスタートします。
逆に言えば、分有しないで1人だけ抜け駆けするなと。共同体を顧みないで、資本主義に乗っかって自分だけいい思いをするような奴は、そのうちに痛い目に遭うよということでしょうか。