迷走する「東京五輪」とロンドンの決定的な差

"女王を上空に飛ばす"など、衝撃演出の真意

ロンドン五輪スタジアムの簡素な外観。そこに込められた「考え方」とは。
2020年東京五輪に向けて揺れる日本。競技場は? 運営は? 予算は?
そのヒントはロンドン五輪(2012年)にあるかもしれない。在英12年の間にロンドン五輪招致計画、大会後のメーン会場活用を考えるレガシーマスタープランに携わり、馬術会場建設の現場監理を担った建築設計士が語る。

 

世界が注目する2020年東京五輪のメーン会場計画案の白紙撤回から5カ月。2015年12月末に新国立競技場のデザインが決定しました。

国際コンペでいったん選ばれたザハ・ハディド氏案が白紙撤回された紆余曲折もあり、皮肉な形で世界から注目を集める競技場となってしまいました。

ロンドン五輪の「何を」参照するべきか?

ここで問うのは新計画案のデザインの是非ではなく、この競技場計画にまつわる別の大きな問題です。それは、「五輪というイベントの中での競技場のあり方を考えているか」ということです。言葉を替えれば、「五輪という“全体”の中で、競技場という“部分”を考えているのか」です。

これはさまざまな業界の専門家も指摘していることですが、「何のための東京五輪なのか?」という、大会の意義が私たちに伝わってきていないように思うのです。そのため、目指すべきゴールが見えない中で計画が進んでいるような印象すら受けます。ゴールから逆算して国立競技場を考えることもできていないのではないでしょうか。

つまり、「五輪が開催される2020年以降の東京や日本をどのようにすべきか」のビジョンがないことが、今回の競技場計画の混乱を生み出しているのです。

どういうことなのか、2012年に開催されたロンドン五輪を引き合いに出して考えてみましょう。

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