【産業天気図・食品・飲料】消費低迷と値下げ要請のダブルパンチで09年度は「雨」

予想天気
  09年4月~9月   09年10月~10年3月

食品業界の09年度は年間を通じて「雨」が続く見通しだ。08年度は値上げラッシュを満喫した。だが、09年度は逆に値下げラッシュが業界のクビを締めることになりそうだ。

ビール業界は、アサヒビール<2502>、キリンホールディングス<2503>、サッポロホールディングス<2501>と、三社そろって09年度は減益計画だ。少子高齢化や健康志向の高まりから市場縮小が続く同業界。昨年実施したビール類の値上げの影響が一巡するうえ、09年度から製造設備の耐用年数短縮で減価償却費が急増する。麦芽原料価格がやや落ち着きを取り戻しているとはいえ、依然として高水準なのも痛手。さらに、消費者の財布の紐が固くなり、低価格の第3のビールに売り上げがシフトしていることで利益率は低下する公算だ。業界が独自に設定している自主ガイドラインによって、激しい値引き合戦が行われる可能性は低いが、厳しい状況となることは間違いない。

08年度、食品業界の中でも唯一値上げを見送った清涼飲料業界。まさに夏場の天候次第では、業界が「快晴」となることもあるだろうが、基本的には厳しい状況が続くだろう。大手のダイドードリンコ<2590>は今10年1月期も連続営業減益となる見込み。タスポ導入でたばこの自動販売機経路販売が縮小している影響から、清涼飲料水の自販機販路での”ついで買い”需要の減少が続くうえ、今期も容器類などの資材価格は高水準で推移する見通し。しかも、飲料は小売りでは安売りの目玉にされやすい。小売りからの値下げ要求をいかに退けることができるかが、収益を左右する重要ポイントとなるが、値下げ要請は必至で、泥沼の値下げ競争は避けられそうにない状況だ。

どしゃ降りとなりそうなのがパン業界だ。07年度、輸入小麦の政府売り渡し価格が再三引き上げられ、製品価格の連続値上げをしてきた。だが、09年4月には小麦価格が引き下げられることが決定。それに先駆けて、最大手の山崎製パン<2212>は2月、主力の「ランチパック」を値下げ。食パン「ダブルソフト」の値下げも検討している。同社の動きに戦々恐々としているのが、同業他社の第一屋製パン<2215>など中小メーカーだ。シェアを落とさないためには、値下げをするしかない。安売り戦争の火蓋は、すでに切って落とされた。

ハム・ソーセージ業界では嵐が吹き荒れている。前08年度前半は食肉相場が好況となり、各社その恩恵を受けていた。しかし、08年11月、伊藤ハム<2284>が東京工場で汚染水を使用していたことが発覚。業界に対する風当たりは一気に強まった。それと前後して食肉相場が暴落。とくに円高の影響もあり、ブラジル産鶏肉で逆ザヤが発生するなど、ダブルパンチを食らった。最大手の日本ハム<2282>は今09年3月期予想を中間期時点(08年9月末)では上方修正していたものの、第3四半期(08年4~12月期)には一転して下方修正をした。少なくとも09年度前半は食肉相場の低迷が続きそう。さらに小売りの現場では、ハム・ソー製品の値下げ要請が強まっている。プリマハム<2281>などは、大容量の徳用商品のラインナップを拡充するなどの対応策を講じている。競合他社もいずれ値下げせざるをえない状況になるだろう。

08年は原料高に泣かされながらも、値上げの恩恵を受けてきた食品業界。今期は原材料価格が落ち着くとはいえ、依然として高水準なのには変わりない。にもかかわらず、値下げ圧力は強まる一方。食品業界にとっては”試練の年”となりそうだ。

(佐藤 未来)

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