パシフィックHLD、頼みの中国投資家との資本提携実現せず破綻、負債総額は子会社分含め1940億円

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パシフィックHLD、頼みの中国投資家との資本提携実現せず破綻、負債総額は子会社分含め1940億円

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パシフィックホールディングスは10日、東京地方裁判所に会社更生手続き開始の申し立てを行った。負債総額は約1636億円(重複分を除き、連結子会社2社との合計で約1940億円)。今年3月末日を期限とする借入金約840億円の返済のメドが立たなくなったのが直接の原因。10日夜に記者会見した織井渉社長は、「2月27日までに(優先株出資の)入金が得られず、信用不安が急速に拡がった。出資の協議は継続してきたが、3月末の資金繰りを考えると厳しい状況だ」と話した。スポンサーについては、「現状、具体的なスポンサーはいないが、管財人とともに努力して探していきたい」(織井社長)と述べるにとどまった。

不動産市場の低迷と金融環境の急速な悪化を受け、パシフィックHLDは昨年来、大和証券グループ本社との資本提携構想を皮切りに、財務基盤強化を狙いとした資本提携構想を次々と打ち出してきた。昨年11月には、元産業再生機構の冨山和彦氏率いる経営共創基盤の100%子会社・中柏ジャパンを通じ、中国の大手上場不動産会社との資本提携構想を公表した。しかし、中柏ジャパンとの提携は実現に至らず、予定していた優先株約470億円と普通社債約270億円は発行できていない。

前2008年11月期は730億円の連結最終赤字となり、債務超過に転落。東証2部に指定替えとなったほか、継続企業の前提に関する疑義の注記がつけられ、会計監査トーマツによる監査意見不表明という事態にも陥っていた。

パシフィックHLDがスポンサー企業をつとめ、かつ子会社を通じて資産運用を受託している2本のJ−REIT「日本レジデンシャル投資法人」<8962>と「日本コマーシャル投資法人」<3229>については、「スポンサーを見つけるべく努力していく」(織井社長)と述べた。

パシフィックHLDによると、同社が発行している公募普通社債の残高は4本合計370億円あり、デフォルトとなる見通しだという。

また、「昨年来、希望的IRを続けており、株価操縦ではないか」との質問には、「一切そういう事実はない」(同)と答えた。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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