なぜグーグルは「拡大力」で他を圧倒するのか 最新ニュースから読み解く「攻め」と「守り」

拡大
縮小

データ量が多くなればなるほど利用者に負担をかけ、ネットインフラを圧迫してしまうことを見越し、ブラウザ上でデータ量を節約するサービスを打ち出した。また、高速化プロジェクトの『AMP』も同じ発想だろう。

AIの話題でも触れたが、グーグルは自社の経済圏を広げるためにAndroidを各メーカーに提供している。これに関連して、このようなニュースがあった。『米グーグル、「スマートフォン向けプロセッサ」の自社開発を検討中か』(ガジェット速報)。

このニュースや自社でAndroid端末の『Nexus』を出していることを見ると、グーグルは各社のAndroid端末に対して不満を持っているのではないかとも感じられる。事実、シェアでは圧勝していても、性能の面でiPhoneやiPadに対して優位かと言えば疑問を感じざるを得ない。

そこでグーグルが目をつけたのがチップ。端末だけでは優位に立てないと判断し、Androidに適したプロセッサの開発を検討しているのではないだろうか、ということだ。

グーグルの「一般向けドローン」はどんなものに?

ちなみに、Appleも『A9』などのチップを開発しているが、グーグルとAppleには大きな違いがある。それは自社で独占しないこと。例えば、このチップをNexusのみに搭載することもできるが、グーグルはそれをしないはずだ。グーグルは、すべての端末に提供することで多くのメーカーを巻き込み、iPhoneなどに対して優位な立場を確立する構えだと思われる。

グーグルが開発するサービスや技術は社会に大きな影響力を与えるものが多いが、ドローンもその一つだろう。『Google X発のドローン、2017年を目処に一般向けサービスを展開する』(THE BRIDGE)の記事によると、グーグルは一般向け用のドローンを開発しているとのことだ。

ドローンといえばAmazonも注目されている。しかし、Amazonとは似て非なるもの。最大の違いは「配達用」か「多目的用」か、ということだ。Amazonのドローンが進化しているとはいえ、その主目的は荷物の配達。ところが、グーグルは一般向けに開発を進めているため、マーケットの規模は比べ物にならない。

例えば、自宅の敷地をドローンが監視することなどが考えられ、自社向けにもドローンを使ったGoogle EarthやGoogle Mapなどの展開も容易に考えられる。ドローンは自動運転同様、きわめて大きなポテンシャルを秘めていると言える。

※ 続きの「グーグルの誤算」「グーグルの弱点」は、週刊『夏野総研』のブロマガでご覧ください!

夏野 剛 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

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なつの・たけし

早稲田大学政治経済学部卒業、東京ガス入社。米ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール卒(経営学修士)。NTTドコモでiモードの立ち上げに参画。執行役員マルチメディアサービス部長を務め、08年に退社。現在は慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、DLE、GREEの取締役を兼任。経産省所轄の未踏IT人材発掘・育成事業の統括プロジェクトマネージャー現任。ダボス会議で知られるWorld Economic Forum の“Global Agenda Council”メンバーでもある。


 

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