人間が変わらなければ自動運転は実現しない

ベンツのプロジェクト支えるキーマンが語る

「F015」の開発を率いたアレクサンダー・マンカウスキー氏(撮影:中谷智)
メルセデス・ベンツが発表した自動運転の新コンセプト「F015」の開発チームにはアレクサンダー・マンカウスキー氏という社会学者が加わっている。11月14日配信の「ベンツが探る『本当に安全で快適な高級車』でも触れたが、なぜ、社会学者が自動運転に必要なのだろうか。キーマンともいうべき、マンカウスキー氏へのインタビューをお届けしよう。

コンピュータは人間を超えられない

清水 和夫(以下、清水):なぜ社会学者であるマンカウスキー氏がハイテク自動車のプロジェクトに加わることになったのでしょうか?

アレクサンダー・マンカウスキー(以下、マンカウスキー):答えは非常にシンプルです。私は社会学者ですが、もともと人工知能(以下、AI)に興味がありました。20年前には夢物語でしたが、いまや進化したAIによって、社会と技術が一体化しつつあります。AIと自動車技術が組み合わさり、そこに社会学が加わることで新しいものが生まれようとしているのです。

清水:社会という視点が加わるとなると、自動運転車の実現は単に新しい車ができるという話ではなく、社会を巻き込んだ大きなイノベーションだといえそうですね。

マンカウスキー:そのとおりです。100年以上前に発明された自動車によって、社会は大きく変わりました。自動車の登場で移動や運輸が変わり、暮らし方や働き方が一変したのです。これから自動車が自動化していくことで、これまで自動車によって変化したものが、再び変化を余儀なくされます。移動にかかわることだけでなく、工業製品の製造方法や農業の在り方までも含めてすべて変わるでしょう。

清水:自動化によってコンピュータシステムが運転の主導権を握ることになりますが、ときどき人間に主導権を戻さなければなりません。そのときの人間とコンピュータとの対話、つまりHMIの議論が極めて重要になります。ここはメルセデスの得意領域ではないでしょうか。

マンカウスキー:自動化に際しては「何を自動化していいのか」「何を自動化してはいけないのか」を考えなければなりませんが、創造性や共感といった人間的なところは自動化をしてはいけないと思っています。その反対に、複雑なことや面倒なこと、単調な繰り返しなどの領域は機械に任せればいい。世界各国のリサーチャーに言いたいのは、最初に考えるべきは未来の人間がどうなるかということです。未来の人間の持っている能力や弱点を考えて、どの部分を強化して、どこを機械に任せるのかを議論すべきです。

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