中国人民銀、複数外銀の為替業務を停止 人民元相場安定のための措置の一環?

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 12月30日、中国人民銀行(中央銀行)は少なくとも3行の外国銀行を対象に、一部外為業務を来年3月末まで停止させた。事情を直接知る関係筋3人が30日、ロイターに明らかにした。写真は北京の中国人民銀行本部。2014年4月撮影(2015年 ロイター/Petar Kujundzic)

[上海 30日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は少なくとも3行の外国銀行を対象に、一部外為業務を来年3月末まで停止させた。事情を直接知る関係筋3人が30日、ロイターに明らかにした。

関係筋によると、停止されたサービスには、顧客向けスポットポジションの清算に加え、クロスボーダー、オンショア、オフショア業務に関するサービスが含まれている。

関係筋は対象となる外銀の具体的な名前を明かさないことを条件に事情を語った。

人民銀は28日に対象行に通知を送付したが、理由は明記していないという。

人民銀からは今のところコメントを得られていない。

欧州の金融市場関係者3人は、中国で一部外為業務の停止を告げられた銀行の1つはドイツ銀行<DBKGn.DE>だと指摘した。ロイターの取材に対し、ロンドンにいるドイツ銀広報担当者はコメントを拒否した。

今回の措置は元相場<CNY=CFXS>の安定に資するほか、元の最近の下落に伴う資本流出を和らげる効果を持つ可能性がある。

人民銀はこれまでにも銀行に対し、顧客の外為取引を監視し、オフショアとオンショア市場の価格差を利用して利ざやを稼ぐ不正な取引を防止するよう求めてきた。

8月の元切り下げ以来、オフショアとオンショアの価格差が広がっており、人民銀は為替政策と資本流出の抑制で難しいかじ取りを迫られている。

ある外銀の幹部は「これは人民銀による人民元相場安定のための措置の一環だ」と指摘した。

関係筋は、クロスボーダーの外為業務の規模が大きいことが原因となった可能性があるとの見方を示した。

一方、政府系シンクタンクのあるエコノミストは、年末に向けて強まっていたドル需要を抑制するための一時的な措置だと指摘。「当局は、外貨買い圧力を和らげ、人民元の下落圧力を緩和することを望んでいる。ただ、非常に強力な資本規制措置に乗り出すとは思わない。むしろ、既存の対策を強化する可能性が高い」との見方を示した。

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