佐藤優の「村上春樹の読み方」が深い、スゴい

100万部「多崎つくる」は、こう読み解ける

村上春樹作品を読み解く(撮影:尾形文繁)
作家・佐藤優氏と井戸まさえ氏の共著『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』が12月に発売されました。この連載では本書の特別編として、「政治の基礎知識――オンライン版」をお送りします。新刊には盛り込めなかった時事ニュースや、書けなかったオフレコの話、未収録原稿などを公開していく予定です。
第2回は、佐藤氏が12月に文庫化された村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読み解きながら、「学校教科書の大切さ」「『型』と『型破り』の関係」「自分の頭で考える人になる方法」を解説します。

村上春樹が100万部売れる理由

たった1冊で「政治の基礎知識」がいっきに身につく「大人のための教科書」。作家・佐藤優氏が、小6「公民」の教科書を使って、驚くほどやさしく「政治の基礎から裏側まで」解説する

井戸:佐藤さんは、新刊『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』の中で、現代は「型破り」の時代だからこそ、まずは教科書という「知の型」を使って「正しい基礎知識」を身につける必要があるとおっしゃっていますね。

佐藤:ええ。武道でも芸術でも何でもそうですが、まずは「型」を身につけるのが大切です。学問も同じで、学校の教科書は、いわば現代における「ひとつの知の型」なんです。もちろんその「型」自体も、学問の進化で変わってきていますが、「型破り」の思考法は、きちんと「型」を身につけた人だからこそできることです。

井戸:「型破り」と「でたらめ」は違う、ということですね。

佐藤:その通りです。その件で、100万部のベストセラーになった村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)が教えてくれることが非常に大きいんです。

井戸:最近、文庫化されて、また話題になっていますね。

佐藤:優れた作品なので複数の読み方ができるわけですが、この作品からビジネスパーソンが読み取ってほしいメッセージのひとつは、「教科書どおりの『型の知識』を身につけることの大切さとその限界」です。どうすれば「型破りの思考法」ができるのかまで含めて、「『型』と『型破り』の関係性」がじつにうまく描かれています。

井戸:私も読みましたが、そういう深読みはできませんでした。どういう箇所からそれが読み解けるんですか。

佐藤:少し長くなりますが、まずは次の引用を読んでください。村上春樹のこの本が100万部以上売れるというのは、たぶん「ここの部分」が相当、人々の心を惹きつけているからだと思います。

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