アメリカ経済は復活するのか “日本化”で低成長期に移行?

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 リーマンショックの後、先進国の経済については、悲観的な見方が広がった。2000年代前半に、バブルが欧米の成長率をかさ上げしていたことが明らかとなったからだ。

バブル醸成の背景には、経常収支の不均衡と過剰なマネーがあった。経常赤字の米国には、日本や中国、中東諸国のような経常黒字国から資金が流れ込んだ。欧州では、経常黒字国のドイツや北欧から、赤字国の南欧、東欧への投資が活発に行われた。米国では住宅市場へのサブプライム層の取り込み、欧州では単一市場の東欧、南欧などへの周縁の拡大がフロンティアになったのである。

バブル崩壊当初は、先進国では今後は低成長が続くという「ニューノーマル」論や、日本の失われた20年を参考に、欧米の「日本化」(ジャパナイゼーション)が進むとする論調が台頭した。

一方で、リーマンショック後の各国の金融・財政政策により、世界経済は着実に回復に向かっていたため、落ち込みは金融危機のショックによる一時的なものだという楽観的な見方も多かった。

しかし、金融緩和を繰り返すうちに、その効果は薄れてきており、財政面では、各国とも緊縮財政を迫られている。そのため、今年は回復も踊り場に差しかかり、世界的に景気が減速している。

国際通貨基金(IMF)は、7月の改訂で、世界経済のGDP(国内総生産)成長率の見通しについて12年を3・5%、13年を3・9%とし、それぞれ0・1%ポイント、0・2%ポイント引き下げた。ユーロ圏の難局が続くうえ、米国の回復テンポの鈍化や中国、インドの成長減速が響いた格好だ。


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