アメリカ経済は復活するのか “日本化”で低成長期に移行?

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先進国の成長率はすでに低下

先進国を見た場合、欧州については、単一通貨ユーロが需給ショックの調整を阻むため、財政統合への進化が必要であり、回復には長い期間がかかることが、コンセンサスとなっている。

見方が分かれているのは、米国経済についてである。景気の落ち込みは金融危機後の一時期で済むのか、長期にわたると見るのか。

まず、金融危機後のバランスシート調整については、元FRB(米国連邦準備制度理事会)金融政策局長のビンセント・ラインハート、経済学者のカーメン・ラインハート夫妻の論文で、多くの場合、約10年かかるという見方が出されている。そうであれば、米国経済の回復は17年ごろということになる。

この点について、カギとなるのは住宅市場の動向だ。住宅価格指数を見ると、現在、ピーク時の半ばぐらいまで戻っている。一時期は回復が早いと見られていたが、価格が戻ると差し押さえ物件が供給されるので、在庫の圧縮も価格の回復も、一本調子では改善が進まない。

問題は失われた10年の後、復調するのかどうかだ。

米国議会予算局(CBO)が毎年発表している経済見通しによれば、潜在成長率は2000年代に低下して、10年に1・5%まで下がり、12年は1・8%だが、その後は2%台へ回復していくとしている(表)。18~22年については2・5%と予測している。


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