米国人の私が銃規制強化に「反対」する理由 保守系コラムニスト、ドーサット氏が吠える

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コロラド州の銃展示会で販売されているライフル銃(写真:Luke Sharrett/The New York Times)

私は銃を持っていない。最後に銃を撃ったのは何年も前、「合衆国憲法修正第2条の日」に行われた、保守系ジャーナリズムのイベントでのことだ(修正第2条は国民の銃を所持する権利を規定している)。

私自身の政治志向は政府の介入を徹底して嫌うリバタリアンと言うよりもコミュニタリアン(共同体主義者)であり、憲法が国民のあらゆる種類の銃や弾倉を所持する権利を保障しているとは思わない。銃規制の問題においては、自分はそこそこ賛成派に近いところにいると思っている。

「祈りよりも行動」は一理あるが

もちろんだからといって、私が本当に銃規制の強化を支持しているわけではない。人間は群れを作る生き物であり、銃を所持する権利を主張する人々も私も、「右派」という奇妙な寄り合い所帯に属しているからだ。

だが私にも、銃規制強化案がなぜあれほど支持を集めているかくらいは理解できる。銃規制の強化は大規模な乱射事件(犯行に及んだのがイスラム国のシンパなのか、いかれた右翼なのか、それとも単にいかれた人間なのかに関わらず)への当然の対応だと考える人が多い理由も分かる。そして銃による大量殺りく事件に哀悼の意を表した共和党政治家たちに対し、リベラル派が激怒した理由も。

だがリベラル派は怒る前に、もう少し冷静な論証をしたほうがいい。銃暴力に対して祈りではなく行動を求めるのは結構だ。だが最近のリベラル派は、どんな行動が有効な対応たりうるのか、そしてその代償がどれほどのものか、きちんと認識せずにものを言うことが多い。

すべてのアメリカ人に必要なのは適度で「常識的な」銃関連法規の改革だという意見も出ている。その中身はと言えば、銃の購入希望者の身元調査の厳格化や新たな方法による銃の追跡確認、殺傷能力の高い銃の所持禁止といったものだ。

2013年に上院で否決されたマンチン・トゥーミー法案も方向性は同じだった。ブレイディ法など1990年代に施行された2つの銃規制法 もそうで、ピストルの購入に犯罪歴などの調査が義務づけられるとともに、殺傷能力の高い銃の販売を禁じた。

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