トランプを支持する「負け犬白人」たちの正体 黒人・ラテン系移民より将来に絶望している
アメリカでもっとも厭世的なのは「白人労働者階層」
ケンタッキー州東部の丘陵地帯出身の私の家族は、自らを「ヒルビリー」と呼んでいる。私の故郷は、今まさに貧困のただ中にある。社会階層間の移動が少ないことに加え、はびこる貧困や薬物依存症などの中で、ここに暮らす白人労働者階層の将来はどこよりも見えにくい。
さまざまな世論調査の結果、アメリカで最も厭世(えんせい)的傾向にある社会集団は、ラテン系移民でも黒人たちでもなく、白人労働者階層だといわれる。
ヒルビリーは、かつてないほど社会的に孤立していて、その状態を次の世代に引き継ごうとしている。子どもたちが成功するために必要な社会的サポートは軽視され、労働者たちはよりよい機会を求めて新天地を切り開くことをあきらめてしまっている。
こうしたわれわれの現状を語ると、必ずやこう言う人がいる。「彼らが幸福を感じなくなっているのは、経済的機会がないからだ。仕事に就くチャンスがありさえすれば、生活状態も改善するはずだ」。
私も若い頃は、このように考えていた、いや、こう信じ込もうとしていた時期がある。だが、実際の経済的不安定さに直面してみると、この主張が必ずしも十分でないことがわかるはずだ。
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