トランプを支持する「負け犬白人」たちの正体

黒人・ラテン系移民より将来に絶望している

トランプ大統領を支持した、“アメリカの繁栄から取り残された白人たち”とは?(写真:dariazu / PIXTA)
「黒人」「アジア人」「白人」――。民族意識の強いアメリカ社会では、肌の色の違いに基づく分類が大きな意味を持つ。
ただ、白人のすべてが「WASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)」であるわけではない。18世紀に移民としてやってきたスコッツ=アイリッシュ系の白人たちは、歴史的に貧困の中に生きてきた労働者階級だ。奴隷経済時代には日雇い労働者として働き、近年は機械工や工場労働者として生計を立てている。彼らは、アメリカ社会で“ヒルビリー(田舎者)”と呼ばれている。こうした白人労働者たちの存在を無視して、トランプ大統領誕生の背景を読み解くことはできない。
アメリカの繁栄から取り残されたヒルビリーの実態とは?『ヒルビリー・エレジー』著者であり、自身もヒルビリー出身ながらイェール大学のロースクールを修了し、現在はシリコンバレーで投資会社の社長を務めるJ.D.ヴァンス氏が語る。

アメリカでもっとも厭世的なのは「白人労働者階層」

ケンタッキー州東部の丘陵地帯出身の私の家族は、自らを「ヒルビリー」と呼んでいる。私の故郷は、今まさに貧困のただ中にある。社会階層間の移動が少ないことに加え、はびこる貧困や薬物依存症などの中で、ここに暮らす白人労働者階層の将来はどこよりも見えにくい。

さまざまな世論調査の結果、アメリカで最も厭世(えんせい)的傾向にある社会集団は、ラテン系移民でも黒人たちでもなく、白人労働者階層だといわれる。

ヒルビリーは、かつてないほど社会的に孤立していて、その状態を次の世代に引き継ごうとしている。子どもたちが成功するために必要な社会的サポートは軽視され、労働者たちはよりよい機会を求めて新天地を切り開くことをあきらめてしまっている。

こうしたわれわれの現状を語ると、必ずやこう言う人がいる。「彼らが幸福を感じなくなっているのは、経済的機会がないからだ。仕事に就くチャンスがありさえすれば、生活状態も改善するはずだ」。

私も若い頃は、このように考えていた、いや、こう信じ込もうとしていた時期がある。だが、実際の経済的不安定さに直面してみると、この主張が必ずしも十分でないことがわかるはずだ。

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