慶大教授が「弱者救済はやめろ」と言う理由

「現物ベーシック・インカム」が日本を救う

生活保護受給者への風当たりが強い(写真:Graphs / PIXTA)
小田原市の生活保護担当職員が「保護なめんな」などとプリントしたジャンパーを着て世帯訪問していた問題は大きな波紋を広げた。
こうした行為は許されるものではないが、今回の件に限らず、生活保護受給者に対する風当たりが強い。特に不正受給が発覚すると、強烈なバッシングにさらされる。不正受給率は全体の0.5%(金額ベース)と低いにもかかわらずだ。
なぜ理解が進まないのか。解決策はあるのか。小田原市の「生活保護行政のあり方検討会」の座長を務め、『18歳からの格差論』の著者でもある慶應義塾大学の井手英策教授と、北九州で長年ホームレス支援活動を行ってきた、東八幡キリスト教会牧師でもあるNPO法人抱樸(ほうぼく)の奥田知志理事長の対談、その前編をお届けする。

小田原事件は「弱者による弱者差別」か

『18歳からの格差論』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

井手:今回の小田原市の問題の根っことして、おそらく市の職員さんにとって生活保護の担当が外れくじのようなもので、ほかの職員さんも「お気の毒に」と、腫れものに触るような雰囲気が役所内にあったのではないかと思います。いわばケースワーカーが「組織内弱者」になっていたのではないでしょうか。

奥田:本当かうそかわからないけれど、あのジャンパーは、保護受給者にではなく、役所内のほかの職員に対して「不正受給と戦っているのはわれわれだ。なめんなよ」とアピールするためだったという話もありますね。

井手:差別された人間は絶対にそのことを忘れないですよね。組織内弱者が組織外弱者を差別する、つまり弱者が弱者をたたくという構造があったと思うんです。そこを見落してはいけない。

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