米利上げが秒読み、日本は楽観視できない 来年は円高に反転するシナリオも

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焦点のイエレン議長は、雇用統計を控えた上下両院公聴会で、利上げへの意志を表明した(写真:AP/アフロ)

もはや織り込み済み。FRB(米国連邦準備制度理事会)が12月15~16日に開催する、注目のFOMC(米国連邦公開市場委員会)。利上げに踏み切るのはほぼ確定で、市場の関心は、2016年の利上げのペースとその影響に移っている。

9月のFOMCで示された年間の利上げ幅予想の中央値は1%ポイントだった。3カ月ごとに1回0.25%ポイントずつ上げるという読みになっている。

しかし、実際にそのとおりに行われるかどうかについては、懐疑的な見方も多い。

6月も9月も見送られたが…

なぜなら、これまでも正常化のプロセスは、遅れがちだったからだ。雇用の改善が進んだことから、イエレンFRB議長は、今年6月にも利上げするつもりだった。が、米国の1~3月期のGDP(国内総生産)が振るわず、9月に先送り。その後、中国経済への懸念が高まり、金融市場が荒れたため、9月も見送られた。つまり状況次第だ。

正常化を阻む懸念材料の一つは、インフレ率が低いうえに、足元で原油のWTI先物価格が1バレル=37ドル台と、大きく下落していること。

最近は雇用統計ばかり注目が集まるが、FRBの二つの使命は「雇用の最大化」と「物価の安定」である。指標として重視する、コアPCE(個人消費支出)のデフレーターは、現状で1.3%とまだ低い。コア指標はエネルギーそのものを除くが、原油安の影響はさまざまな品目に及ぶため、2014年後半には一段低下した。先行き再び水準が切り下がるかもしれない。

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