「金融緩和」の現実は、「引き締め」だった マイナス金利が警告する黒田緩和の反作用
「いずれ追加緩和へ」というのが大方の予想だが
2015年10月に2回開かれた日銀の金融政策決定会合においては、追加緩和はなされなかった。
しかし、2%のインフレ目標が達成できそうにないという理由から、いつかは追加緩和をやらざるをえないとみている市場関係者は少なからずいる。
もっとも、市場関係者自身がそう考えているというより、金融政策担当者がそう考えているだろうと市場関係者が推測している、というのが正しいかもしれない。
しかし、日銀のロジックを優先することは、エビデンスを無視することに等しく、日本経済の命取りになりかねないのだ。
金融もロジックよりエビデンスを重視すべき
2013年、政府・日銀はデフレという病気を治療するために、金融緩和という薬を使い始めた。その背景には「デフレには金融緩和が効く」というロジック(論理的思考)がある。
今日、医療はロジックよりエビデンスが重視される傾向にある。昔は「Aという病気にはBという薬が効く」というロジックがありさえすれば、Bという薬が処方されていた。
それに対して今は、Aという病気にBという薬が効いたかどうかの統計学的な実証研究の結果(エビデンス)を見たうえでBを処方する、という考え方が重視される。
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