右肩下がりの日本の救世主は「冷凍食品」だ 楡周平が小説「和僑」で描いた夢物語

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トンカツやメンチカツなど、日本の味を生かした「冷凍食品」(写真:pu- / PIXTA)
巨大定住型高齢者施設と地方再生、ウィン・ウィンのビジネスモデルで読ませ、映像化もされた小説『プラチナタウン』から7年。その続編『和僑』は、高齢者の楽園を離れ、人口減少時代への対策を早急に確保すべしという、問題提起で始まった。作者の楡周平氏にこうした筋立ての背景を聞いた。

日本の人口減少問題が深刻化

──好評だった『プラチナタウン』ネタではなく、20年後の衰退を危ぶむ話に先を急いだのはなぜですか?

日本に対する強い危機感です。財政、国際的緊張、いろいろある中で、絶対に避けられないのが人口減少問題。日本の合計特殊出生率は1・42、高齢者人口も10年20年先には減少に転じ、人口減少がより深刻化する。怖いのは市場が縮むことです。GDPの6割を占める内需が縮小したら、日本はどう経済規模を維持できるのか。高齢化社会が来るぞ、というところで話が止まっていて、今日のこの日が明日も続くとみんな思ってる。でも続かないんです。

──人手不足に焦点が当たっている介護市場も、2035年にはピークアウトするといわれてますね。

若い人に安定した雇用、収入基盤を用意して、少子化問題を何とか解決しなきゃいけない。そのカギは1次産業の活性化にあると僕は思うんです。TPPを危惧する人が多いけど、海外の農産物が入ってくるならこっちも出せばいい。品質は日本のほうが断然いいわけで、その利を生かすなら国内じゃない、海外です。

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