ファイザー、19兆円の巨額買収に透ける苦境 製薬首位の座を奪還も、冷めた見方広がる

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ファイザーは何年も世界トップに君臨した高脂血症薬「リピトール」の特許切れで苦戦中(撮影:今井康一)

超巨額買収による世界最大の製薬企業誕生という一報に、冷めた見方が広がっている。自力成長が限界に達したメガファーマ(大手製薬企業)の厳しい状況が透けて見えるためだ。

米製薬大手のファイザーは11月23日、アイルランドの同業アラガンとの合併に合意した。買収総額は何と1600億ドル(約19兆7000億円)に上り、製薬業界のM&A案件では最大規模である。

相次ぐ買収で製薬首位の座へ

ファイザーはピーク時に世界で年間100億ドル超を売り上げた、高脂血症薬「リピトール」が2011年に特許切れを迎えて以降、減収が続いていた。今回の買収により、シワ取り薬「ボトックス」などの製品群を獲得。2014年にスイスのノバルティスに奪われた業界首位の座を奪還する見通しだ。

同社が現在のポジションを築いたのは、M&Aによるところが大きい。2000年には米ワーナー・ランバート、2003年には米ファルマシア、2009年には米ワイスを次々と買収。今年9月には後発医薬品大手の米ホスピーラを買ったばかり。破談に終わったものの、2014年は英アストラゼネカに統合提案を持ちかけた。

製薬業界では1990年代後半から、国境を超えたM&Aが活発化。売上高数兆円規模のメガファーマは、大型再編の結果生まれている。

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