仕組み債による証券会社「荒稼ぎ」の手口

金融庁も問題視、調査に乗り出した

8月中旬以降の株価下落により、EB債は下がった株での償還、元本毀損も(撮影:風間仁一郎)

デリバティブを活用した金融商品、仕組み債が問題視されてきている。今年度上半期の株式市場が乱高下を繰り広げたなかで、一部の商品に内在する高いリスクが顕在化する場面が発生したからだ。金融庁も証券各社を対象とする調査を行っている。今後、商品設計や販売手法は抜本的な見直しが迫られてもおかしくない。

問題を露呈させたのは株式と債券を組み合わせたEB債(他社株転換条項付き債券)と呼ばれる仕組み債だ。具体的な商品性は多様だが、高い利回りが仕立ててはあるものの、組み合わせた株式の価格変動に応じて、投資結果が極端に異なるように設計されている。つまり、株式の価格変動のリスクをとっているのだ。いわゆるハイリスク・ハイリターンの典型的な商品である。

同商品のポイントは、あらかじめ設定された価格水準にある。購入時から参照対象とする株価が一定の高さとなる水準に上昇した場合は、その瞬間に、債券は期限前償還となる一方、逆に一定の低い水準に下がってしまうと、投資元本が大きく毀損する。通常、判定日は四半期ごとであり、そのたびに判定するが、両方の価格水準にタッチしない場合は、投資続行となる。

株式相場が乱高下するとハッピーシナリオは崩壊

ちなみに、利回りは年率表示のために、早期償還となった場合にも四半期分の金利収入は得られるが、株価が一定の水準を下回った場合は、極端に低い利回りが適用されてしまう。

また、株価が一度でも判定日にあらかじめ決めた一定水準を下回ると、満期時には「対象株式との現金調整」という方式で、投資資金が対象株式で戻ってくる。その際、問題は株価が購入時よりも20%下落していると、受け渡された瞬間に20%の含み損が投資家に発生する。単純に考えると現金化すれば、100の投資金額が80に減少することになる。

つまり、償還期限まで株価があらかじめ決めた上限にも下限にもぶつからずにいれば、あらかじめ設定された高利回りの金利収入が満期まで得られることになるが、株式相場が乱高下すると、そのハッピーシナリオは完全に崩壊する仕組みというわだ。

今年度上半期は、チャイナリスクの表面化によるハッピーシナリオの崩壊局面だった。同リスクが顕現化する前は、国内外の株式相場は大きく上昇し、EB債を購入した中小企業や個人富裕層の間では「早期償還が頻発した」と言う。ところが、8月中旬以降、国内外の株価が失速する過程では、逆に下がった株式で償還される場面が出てしまった。

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