「2万円の呪い」があっても悲観視は不要だ 日本も米国もぼちぼちの投資環境が続く

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米国は感謝祭翌日の11月27日からクリスマス商戦がスタートし、買い物客でにぎわった(写真:ロイター/アフロ)

足元の日経平均が2万円に接近しても超えないため、もうずっと超えないのではないかとの弱気が聞こえてくる。6月24日、8月11日に、2万0900円台のザラ場高値をつけた時に、「2万1000円はもちろん、2万2000円、2万3000円は間違いなし!」と叫んだ人は今こそ叫ぶべきだと思うのだが、一部の信念を持った専門家を除いては、どうも静かなようだ。

当時と何が違うのだろうか。国内景気は当時も今も、もたもたとはしているが、どちらかと言えば上向きという状況だ。GDPベースでは、4~6月、7~9月と2期連続で前期比ベースの実質経済成長率がマイナスに陥ったが、在庫投資を除けば7~9月はプラス。つまり、まあまあぼちぼちだ。

海外を見渡せば、米国は堅調ながら勢いは欠く。こちらも、まあまあぼちぼちだ。7~9月期の米企業収益は前年比マイナスであったが、これは原油価格下落によるエネルギーセクターの減益が大きく、エネルギーを除いた企業業績は増益だ。しかも、原油価格下落は昨秋に大きく進み、その後下げ速度は緩んだため、前年比でみた原油価格の下落率は今後縮小しよう。

それと並行してエネルギーセクターの減益率も縮小し、米企業全体としては10~12月期以降は増益に転じよう。この増益転換が今後米株価を押し上げていこうが、特に喜びの舞を踊るような話ではなく、「算術上の」収益好転に過ぎない。とすれば、米株価の先行きもまあまあぼちぼちだろう。

6月、8月並みに買われれば2万1000円超

欧州は景気が低迷しているが後退はしていない。加えてECB(欧州中央銀行)が金融政策で景気を支える構えを見せている。12月3日(木)のECB理事会でも追加緩和策を打ち出す公算が高い。一方、中国経済は減速しており市場の懸念も強いが、種々のデータ、たとえば中国の鉄道貨物輸送量や豪州から中国向けの輸出額などをみると、景気が悪化し始めたのは2014年初からだ。ずっと中国経済は悪化し続けていたのに、8月前半までは楽観視し、今さらになって騒いでいるだけにすぎない。現状、日本株の投資環境は飛び抜けて良いわけではないが、著しく悪いわけでもない。

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