葬式は必要か、不要か――ブラックボックス化した葬儀 業界に一石を投じる動きも

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お寺にしても、「そもそもは布教のための機関であり、葬式のためにあるのではない」(渋谷氏)。葬式とは本来、遺族のための儀礼であるはず。だが、「故人を弔う」ことを大義に、対外的に花輪の数を競うなど、主旨とかけ離れた方向にいくケースも少なくない。

葬式のみならず、墓でも同様だ。霊園事業の場合、地方自治体の許可を受けた宗教法人でないとできないが、休眠法人の名義を借りて霊園をつくるなどの事例も勃発した。いわば葬式から墓までが「ブラックボックス化」(寺院関係者)してしまっている。

異業種で参入するイオングループの意図

だが、こうした底流に、一石を投じる動きもないではない。

流通最大手のイオンは09年に葬儀ビジネスに参入。といっても、葬式を自ら行うのでなく、あくまで葬儀業者の仲介がメインで、仲介手数料で成り立つビジネスだ。それでもお布施などをメニュー形式で公開したイオンに、仏教界からの抵抗は大きかった。

既存業界からも改革の試みは始まっている。名古屋が地盤である上場企業のティアは、「不明朗だった葬式の価格を業界に先駆けてオープンにした」(冨安徳久社長)。生前見積もり制をとるなど、あくまで顧客本位の事業を目指す。

葬式は静かに故人を送りたいもの。と同時に、価格を含め、適切な葬式のあり方を検証するのも重要だ。とかく目を伏せがちな葬式だが、いざという時にあわてないよう、少しは頭の隅に入れておきたいものである。

週刊東洋経済6月30日号・特集『あなたを襲う相続税』では、島田裕巳氏の独占インタビューから、葬儀の主要な流れから費用の内訳、またイオンの葬儀ビジネスのレポートなどを取り上げた。ぜひ参照していただきたい。

※写真:昔ながらの葬式はいつまで続くのか

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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