成長速度2倍!遺伝子組み換えサケが食卓に 米当局の「食べても安全」は信用できるか
米食品医薬品局(FDA)は11月19日、遺伝子組み換え技術により、通常の2倍の速さで成長するサケについて、食べても安全と認可する決定を下した。これにより米国のスーパーマーケットや一般家庭の食卓に、初の遺伝子組み換え動物が登場する可能性が現実的になってきた。
申請を行っていたバイオベンチャーのアクアバウンティ・テクノロジーズ社にとっては、長い戦いに決着がついたことになる。同社が「アクアアドバンテージ」について、FDAの承認申請を行ったのは1990年代のことだ。アクアアドバンテージは大西洋サケの遺伝子を組み換えたことにより、通常の養殖サケの約半分の期間(18~20カ月)で販売に適した大きさに生育する。
消費者団体と環境団体は猛反発
FDAは2010年、アクアアドバンテージは食用としても、環境的にも安全であるとの仮決定を下した。ところがこれに対して消費者団体と環境団体が猛反発。安全調査が不十分であるうえに、このサケが海や河川に流出するようなことがあったら、野生のサケの個体数に影響が出る可能性があるとして異議を申し立てた。
今回のFDAの決定を受け、NGO(非営利組織)「食と水の監視」のウェノナ・ホーター事務局長は、「この不運な歴史的決定は、多くの消費者、研究者、議員、そして世界のサケ養殖業者の強力な反対の声を無視するものだ」と、声明を出した。
消費者擁護団体「食品安全センター」は、ほかの団体と共にFDAの承認を不服とする訴訟を起こすと発表した。