プロがこっそり教える「女性のための交渉術」 苦手意識を克服して堂々と交渉をしよう

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つまり、マレーネさんの考える交渉とは、どちらか片方が一方的に意見を押し付けたり、損をこうむるものではない。その時々で、お互いにとって最も「公平」な状態を目指して行われるべき対話なのだ。

また、女性が交渉を苦手だと感じてしまう理由のひとつとして、「相手に『NO』と言われることを必要以上に怖がってしまうから」と話すマレーネさん。特に日本社会においては、相手の気持ちを察して自分の行動を決めたり、相手を立てて自分は控えめにすることが美徳とされているため、「NO」と言われることに免疫のない女性が多い。

マレーネさんは「相手からの『NO』を変に避ける必要はなく、交渉のスタート地点に立っただけだと思えばいいんです」と指摘する。

「世界の多くの文化において、女性は良い聞き手となり、他人に対して目配りをするようにと育てられてきました。聞くことと目配りすることは、協調をベースとした交渉における武器だといえます。ただし、女性は協調性に富んでいるあまり、男性ほど要求に対して固執することができず、すぐに譲歩してしまいます。交渉においては、自分の要求を明確にしつつ、柔軟に相手と話し合い協調するという姿勢がとても大事です」

では、交渉をうまく運ぶためのコツはあるのだろうか。マレーネさんは交渉に役立つ3つのポイントを紹介してくれた。

交渉をうまく運ぶためにおさえるべきポイント3つ

マレーネ・リックス(Malene Rix)/交渉アドバイザー/トレーナー1965年生まれ。文学修士。デンマークのコペンハーゲンを拠点に、15年にわたって国内およびヨーロッパその他の諸外国で幅広いクライアントに対する交渉、研修プログラムの設計、交渉術を教える講師としての仕事に携わる

ポイント1.「質問」を効果的に使って相手と対等な立場を築く

「まず、まともに交渉を進めるためには、相手と対等な立場で交渉ができる土壌を築く必要があります」とマレーネさん。相手に一方的に意見をぶつけられたりしたとき、黙っているだけでは対等な立場には立てない。自分の貫きたい意志を守りつつ、相手の考え方をしっかり把握できるように、「では、私は何をすればよいですか?」、「あなたに必要なことは何ですか?」など、質問をしていくといいそうだ。

また、交渉で感情的になるのは禁物。どうしたら相手が「YES」と言ってくれるか、対話を通じて丁寧にひも解いていこう。

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