三菱重工がMRJに全力で挑む"真の意味" 「国産機が飛ぶ」という感動話だけではない

拡大
縮小
三菱重工業がMRJに取り組む意義とは?(提供:三菱航空機)

MRJ初飛行の動画はこちら

三菱重工業が手掛ける国産ジェット機、「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の初飛行が話題となっている。「国産機が飛ぶ」という感動ストーリー的に取り上げられていることも多いが、実はそれ以外にも重要な点がいろいろある。

そもそも、なぜ三菱重工業はMRJという国産旅客機を開発するのか。

それは、ビジネスとしての旨味が、納入業者であるサプライヤーと、完成品メーカーである元請けとではまったく異なるからだ。自動車部品をトヨタに供給しているサプライヤーと、トヨタのどちらが儲かるかと聞かれたら、言うまでもなく後者のほうである。

サプライヤーと元請けでは収益性に大きな差

基本的に、サプライヤーのビジネスは、部品の原価にマージンを乗せ、それによって利益を得る。注文が増えれば売り上げも増え、それに比例して利益も増えるが、どこまでいっても納入業者であることは変わらず、ビジネスとしてはどうしても限界がある。

一方の元請け、最終的な組み立てを行う航空機メーカーは、いったいどれくらいの利益を上げられるかは事業の開始時点ではよくわからない。だが、表現は悪いが、どのくらい生産工程を効率化できるかなど、やり方次第では利益を拡大させる余地がある。

たとえば、三菱重工業はボーイング787の主翼を造っているが、あくまでその主翼をいくらで買うかはボーイングが決めるもので、三菱側が努力してもそこから急激に利益を伸ばすことは難しい。

しかし、部品ではなくMRJという「完成品」を作るとなれば、三菱重工業が基本設計から、サプライヤーの選定、部材の調達、組み立てまで、すべてを自社で決めることができる。その一連の過程の中で、部品を効率よく調達し、生産手法を改良し生産性を上げれば、利益を向上させることもできるわけだ。

次ページ年間売上高は2500億円?!
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT